風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

青森・りんごの旅④最終回「街ぶら弘前」


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十和田から2時間ほど車を走らせ、弘前に移動してきた。街としては青森市八戸市の方がずっと栄えているが、弘前で古い洋館や教会が見たいと思ったのだ。

映画のセットかと思うような立派な日本家屋。実業家、藤田謙一氏個人が大正時代に建てた別荘だ。

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藤田記念庭園。きれいに整備された広大な日本庭園はのんびり歩くのにぴったりな場所だった。京都のお寺を歩いている時のような静けさがあって。

見事な庭園を歩きながら目指したのは、同じ敷地内にあるこの洋館。

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三角屋根の洒落たこの建物のなかに「大正浪漫喫茶室」(←ベタな店名)というカフェがあった。f:id:usotomishin:20221017235201j:image

テラス席の角という特等席に案内してもらい、足を伸ばしてほーっと深呼吸。

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やっぱりアップルパイを頼まなくては。深煎りのコーヒーとともに。

アップルパイのパイはバターたっぷりで、中にはちょうどよい甘さのサクサクしたりんごがぎゅっと詰まっていた。トロトロのりんごの方が本当は好みだけど、りんごそのものがフレッシュで美味しかった。

弘前にはたくさんのアップルパイ専門店があり、このカフェでは10店ほどお店のアップルパイから、好きなものが選べるようになっていた。

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それにしても、弘前の街は人が少ないものあるけど、どこを歩いていても静かだと感じた。田舎町にありがちな音声広告も聞こえてこないし、道案内をしてくれた優しいおじさん達も立ち寄ったお店の人たちも皆穏やかな物腰で、動作がゆっくりな気がした。

都会の人たちはいつも何か急いでる感じがするから、その違いが心地よかった。


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弘前市立図書館。この建物が現役で市民に使われているのが素晴らしい。こんなロマンチックな図書館に出入りして本を選んだり勉強したりできるなんて。

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いい感じのパブを何軒か見つけた。

弘前で、スナックを改造した面白いホテルに宿泊して飲みに行く計画もあったので、そうだった場合はこのパプに寄っただろうな。

その夜の楽しさが容易に想像できた。f:id:usotomishin:20221017235237j:image

こぎん刺しの小さなブローチを買った雑貨店「green」。ギャラリーのような美しいディスプレーで伝統工芸品を並べるセンスのよいお店だった。

この店のすくそばに児童文学にでも出てきそうな、丸ごと宝箱のようなアンティークショップがあった。もしもこの町に住んでいたなら、通って大事にしただろうと思わせる小さなお店がいろいろある。

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焼き鳥屋やうなぎ屋、居酒屋が並ぶ飲み屋通りにあって少し迷い、やっと辿り着いた「まわりみち文庫」。

甘く香ばしい美味しい匂いが漂う夕暮れの小径。
高田渡はっぴいえんどが似合いそうな佇まいの書店だったが、中に入るとSKA、しかも自分も好きなspecialsが流れていたので身体が揺れた。

音楽、映画、奈良さんや棟方志功、東北民藝系の美術書はもちろん、サブカルから元オリーブ少女たちが好きそうなお料理本や生活本も。
新刊と古書がジャンルごとに丁寧に並べられた小さな店内にはあたたかな空気感があって、思った通り好きな書店だった。


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ちょうど旅行中に猪木さんの訃報が飛び込んできたのもあり、プロレスファンの夫にお土産としてこの雑誌を購入した。めがねをかけた優しい男性店主に奥から出してきてもらって、猪木さんが一番かっこよく写っていると思った一冊を選ばせてもらった。

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自分用にはこちらを。
日本の珍スポットや奇人変人を取材する金原みわさんの「さいはて紀行」。(シカク出版)
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人の通りも本当に少なくて、街としてはきっと寂れているんだろう。だけど弘前は小樽や函館にも似た情緒のある町だった。

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おまけ

《レンタカーの旅はよい。》

空港に着いたら車を借りて、重い荷物を気にせずどこへでも自由に行けるレンタカーのひとり旅は、歌ったり好きなところで停車したり、気楽で本当に楽しかった!

今回私が借りたのはトヨタのヤリス。今までマイカーとして歴代のヴィッツを色違いで3台運転してきたので、その進化版であるヤリスは馴染みがあった。

新型ヤリスは小回りが利きステアリングも軽く、何より加速にパワーがあってコーナーリングも安定感があり、運転が楽しかった。低燃費なのも助かった。

青森は観光地間が結構離れているので、時短のためにも車が便利だった。もちろん東京や大阪、福岡などの大都会の旅は公共の交通機関を使った方が良いけど。

これからはレンタカーでいろいろな地方都市を周るのもいいなぁと次の旅が楽しみになった。

青森・りんごの旅③「愛はとこしえ、十和田でうたう」

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十和田市現代美術館へ。

美術館が建つメインストリートに着いてまず驚いたのは、普通に草間彌生さんの「愛はとこしえ、十和田でうたう」が遊具として置いてあったこと。

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「まちに開かれた美術館」と謳っているが、開かれるにも程がある。草間彌生だぞ。

全く躊躇することなく、かぼちゃでかくれんぼしてるかわいい地元の子どもたち。


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すぐそばにインゲス・エデーの巨大な「ゴースト」もいるし。
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本物の住宅の間にエルヴィン・ヴルの「ファットハウス」
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入り口で迎えてくれたのはチェ・ジョンファ「フラワーホース」
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美術館はおしゃれなデザイナーズマンションのモデルルームのよう。

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回廊式になっていて、各部屋でアーティストの作品がひとつずつ観られるようになっていた。

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最初に入った部屋に4mのおばあさんが立ちはだかりギロッと睨んでいた。

思わず「わ!」と声が出た。
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皺っぽい肌の質感も象のような足首もリアル。

オーストラリアのロン・ミュエクの作品「スタンディング・ウーマン」
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中庭にオノ・ヨーコ「念願の木」という作品があった。本物のリンゴの木に来場者が願い事を書いて枝にぶら下げられるというもの。 

普段あまり願い事をしない私だけど、今回は心配の種である息子のことを書いてみた。


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天井にのぞき穴があって、椅子に登ってその上の世界を見られる仕掛けになっている。栗林隆「ザンプランド」。

もちろん私もやってみた。(何が見えるかはいつか行かれる人のために内緒にします)


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はじめて知ったアーティストのことが一瞬で好きになることもある。

韓国のスゥ・ドーホーの作品「コーズ・アンド・エフェクト」。

美しく儚く、でも未来に続く普遍性みたいなものも感じた。


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赤、オレンジ、半透明のグラデーションのシャンデリア。よく見ると、スカートを履いた女の子と半ズボンを履いた男の子のお人形が、肩車をして連なっているの。

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壁面に描かれた奈良美智夜露死苦ガール2012」

脱力しながらも鋭い眼差し、でもニヤニヤしながら何かたくらんでいる。

こんな心持ちでいたいといつも思わせる、奈良さんの絵。


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何度も言うけど美術鑑賞はお腹が空く。

ちょうどお昼前だったので青森のご当地名物、バラ焼きのお店に行ってみた。

《司・バラ焼き大衆食堂》さん。

甘だれに漬けた玉ねぎとこんもり盛られた牛バラ肉。先に玉ねぎをグツグツ煮て飴色になるまでじっと待って、それから牛肉を崩す。

ほんのり焦げた香りがしてきたら完成。

リンゴが入った甘いたれが絡んだそれらを口に運ぶと、白飯が止まらなかった。

ごはんはおかわりし放題!


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ここのお店、元気な店員さんたちが、入店時は「ボンジュール!」

退店時は「ラヴィ アン ローズ!バラ色の人生を!」と声をかけてくれる。

それが何ともくすぐったいが、何だか嬉しくもあった。

失礼ながら「プレハブ小屋のような大衆食堂で、なぜフランス語なのだ?」と駐車場に向かう道中、考えてはっと気がついた。

「バラ焼き」に「バラ」をかけてるんだってことに。

あと青森弁がフランス語の響きに似ているというのもあるらしい。

…たしかに!

青森・りんごの旅②「酸ヶ湯温泉」

 

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青森県立美術館からは宿泊地に向かって八甲田〜十和田ゴールドラインと呼ばれる山道を1時間ほどかけて走った。

事前調べにより、ヘアピンカーブと絶景が続く道だと知っていたので、宿には日が落ちる前に着く予定で美術館を出発。途中、山の向こうに陽が落ち始める場面に遭遇したので、あまりのきれいさに車を停めて休憩。

 

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標高900mの高地に建つ「酸ヶ湯温泉」に到着。

増築や補修を繰り返してきてはいるが、江戸時代から続く温泉宿が放つオーラのようなものにワクワクぞわぞわした。

青森にはたくさんの名湯があるが、300年間湯治場として名高いこの酸ヶ湯になぜ惹かれたのか。あとから母に聞かされてちょっと驚いたことがあった。

酸ヶ湯温泉はリウマチを患っていた秋田の曽祖母が、湯治のために毎年長期間訪れていた場所だというのだ。知らずに引き寄せられたということか。


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同じ敷地内に設備が整った高級な洋室や和室もあったが、あえて私は歴史ある湯治棟の部屋を予約していた。

昭和の貧乏学生が住む〇〇荘のような薄いドア、部屋にいるとすぐそばを通る人の声や足音が丸聞こえなのもいい感じ。布団は自分で敷くし、トイレ、洗面所は共同。

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部屋は正直もっと「独房」みたいな雰囲気を想像していたが思ったより広かったし、カビ臭い以外は快適だった。
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宿の人によると階段は昔のままの物を使っていて、特に主柱のデザインに職人のセンスを感じた。
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長期滞在でガチの湯治をする人用の、炊事場。「冷やし槽」という飲み物の瓶や果物を冷やしておく場所があるのを初めてみた。

 

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お腹が空いているのと部屋の明かりが暗めで本も読みづらいほどだったので、早めに夕飯にしようと湯治棟宿泊者専用の食堂に行き、ひとりの宴を始めることにした。

もっと精進料理みたいなのを想像していたが、肉らしいものとして生ハムがあったしエビとイカのお刺身もついていた。

青森で20軒のお店しか扱っていないという青森エールという美味しいビールを飲みながら、いただいた。

私の斜め前に座っていたやはり一人客のおじさんが、ビール、焼酎、日本酒を次々飲みながら、きのこ汁を4杯もおかわりしていた。何種類もの歯応えの違う地元のきのこがたっぷり入っていて、たしかに美味しかったけど4杯とはね。

「きのこ大好きなんだね、良かったね」と心の中でおじさんに言ってあげた。

 

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(お風呂は撮影禁止なのでホームページより借用しています)

さて夕飯の後は最大の楽しみだったヒバ千人風呂へ。

ここは4つの源泉があり、本当に1000人入れてしまいそうなほどの広さ。天井に鍵を一本も使わず、柱もない総ヒバ作りいうことに驚く。職人の技がここにも光っていた。

そしてお湯に入ると雷に打たれたかのように全身がビリビリした。やばい、これは他とは違う。霊泉だ…八百万の神も、きっと千と千尋のオクサレ様も、そして曽祖母もあの世から入りにきてるに違いない。

そんな霊気を感じる凄いお湯だった。舐めると酸っぱく錆のような味がして、目に入ると開けられないくらい痛いのだ。強酸性湯、おそるべし。これは万病に効くのも確かだ。

たくさんのおばあちゃん達に囲まれながら、嬉しくてニヤニヤしながら入った。お湯の温度も私好みで、高めの43度。

すっかり身体が温まり、軽くなってもうひとつの温泉「玉の湯」へ。こちらは「ヒバ千人風呂」とは源泉は異なるが、同じ白濁した酸性の硫黄泉だった。酸っぱくて熱くて痺れるお湯がすっかり気に入って、朝早く起きてもう一度入った。

風呂上がりの朝ごはんがより美味しく感じられてごはんが止まらなかった。白米「つがるロマン」としょっぱめな大根の漬物の組み合わせ。

二膳目をおかわりしに立った時に「このお米すごく美味しいですね!」と配膳係のおばあちゃんに話しかけると「ここは水もうまいがらねぇ」とにっこり。


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今回の旅行、1日目は青森のりんごに合わせて赤いワンピースを着た。それにミナ×ケイスケカンダのtambourineジャージを羽織って。

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旅館を出て、次に向かうは十和田方面。

青森のFMラジオと鳥のさえずりを聴きながら、谷池温泉、蔦温泉と名湯が続く緑のゴールドラインを駆け抜ける気分は最高だった!

青森・りんごの旅①「つづく」

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今年の秋のひとり旅は、中学校の修学旅行以来の青森へ!千歳空港から青森空港までの飛行機は乗ったと思ったら着陸した。その間たったの35分。

上空から海を見ている時「泳いでも来れるのではないか?」と思ってしまうほど近かった。


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空港から歩いて1分のレンタカーショップで予約していた車を引き取り、すぐそばの青森県立美術館に直行した。

「東京」→「神戸」→「福岡」→そして「青森」へと巡回してきたミナペルホネン /皆川明《つづく展》を観るのが今回の旅の最初の目的だ。


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青森県立美術館は以前からその建築様式や展示の見せ方、学芸員さんの制服(ミナペルホネン製なのだ)など見どころがたくさんあり、ずっと来てみたかった場所だ。

美術館は三内丸山遺跡のすぐそばに建ち、まるで昔からある城砦のように土地に馴染んでいた。


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真っ白な外壁に展覧会のために特別にちょうちょが描かれていた。左上にはミナペルホネン のグラフィックデザインを多く手掛けてきた菊池敦己さんの「青い森」のシンボルマークが。


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ミナのテキスタイルで作られたクッションが埋まる入り口に、葛西薫さんがデザインした「つづく」の文字。この文字の色と形が本当に好きで後世に残る名作だなぁとつくづく思う。

 

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美術鑑賞は体力を使う。

まずは腹ごしらえと併設のレストラン「4匹のねこ」にて青森牛のピラフとアップルソーダを注文。

むむ、青森はもしかして味付けが濃いのかな。アップルソーダというよりはビールが合うしょっぱめな味付けだったが、馬力をつけるためにはちょうど良かった。


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3度目になる「つづく展」だけど何度見ても感じる。展示構成の美しさよ。


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「洋服の森」では無限にある洋服の組み合わせ方や色柄の豊富さ、技法の素晴らしさは博物館級だ。一着ずつじっくり観察してしまうので、この森からなかなか抜け出ることができない。

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左が私が愛用しているswingの麻のワンピースで右が妹のoasis。東京でも神戸でも私たち姉妹の洋服が仲良くならんでいるのを見つけて写真を撮ったのだが、今回青森でも違う組み合わせで出会えて嬉しかった。

私も妹もこれを着て、暴れん坊で幼かった子どもたちを連れて、汗だくでいろいろな場所へ出かけた記憶が残っている。もちろん今年も着ている大切な一着だ。


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写真真ん中のコートはsnow cookieという名前のテキスタイルで雑誌SPUR別注のコートだったはず。当時すごく欲しかったのだけど買えなかったので、再会できて幸せ。


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今年の秋冬の新作も飾られていた。刺繍の緻密さと図柄のゆるさの対比がすてきなこちらはforest diamond

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linnunlaulunorthern flowerのワンピース。

20年前の洋服も最新作も全部一緒に並んでいるのに、全く時代を感じさせないってすごいこと。


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皆川さんが神戸での展覧会のときに描いたLife puzzleという絵は、もはや芸術品だ。

さまざまな洋服にプリントされて大人気のテキスタイルとなっている。


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ブランド を代表するtambourineの刺繍は、機械で仕立てたあとに微調整をミシンで丁寧に行うそうだ。だからこそハンドメイドの味わいが感じられるのだと思う。

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ワンシーズンにひとつ生まれるtori-bag。その制作工程。膨大な量のカラーサンプルからその年のtoriさんが生まれるのを考えると楽しい。
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チェック、ボーダーなど普遍的なワンパターン模様から生まれるオリジナルのテキスタイル。

私は自由に何かを描いたテキスタイルや刺繍作品はもちろん好きだけど、シンプルゆえに力強いミナのボーダーのテキスタイルが実は大好きだ。

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ユニークなのはテキスタイルだけでなく、ここ数年の洋服はパターンも変わっていて、着たときのラインが美しく面白い。

carnival treeのワンピースはゴミ袋がヒントになって生まれた形。


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青森県立美術館がこんなに広いと思わなかった!

真剣に、そして心震わせながら展示を見て回ってすっかり喉がカラカラ。自販機で買ったHI-Cのリンゴジュースは東北限定・復刻バージョンだった。懐かし&おいし。

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「つづく展」は日本での巡回を終え、つぎは台湾で開催されるそうだ。台湾?なら行っちゃおうかな?って思っている。

 

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ミナペルホネン の展覧会のあとは美術館の主、奈良美智さんの「あおもり犬」にも会っておかねばならない。

長い階段を登っておりてしばらく歩いてやっと出会えたBIGな子!「あっ」と声が出る迫力だった。
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ここからは有料で観ることができるコレクションギャラリーのゾーン。地元出身の奈良さんの絵や彫刻作品がいつでも観られるなんて青森県民が羨ましい。
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とにかく広く入り組んだ作りなので、一瞬海外の美術館にいるような気がしたくらいだ。
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撮影禁止だったので写真は無いが、草間彌生さんの作品がたっぷり見られるコーナーもあった。とくに赤い水玉の豪華なパンプスのオブジェに見惚れてしばらく眺めていた。

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最後に、棟方志功先生(←なんだか先生と呼びたくなる人)の版画作品「華狩頌」にはとても感銘を受けた。

この作品には《動物を狩るには槍が必要だが、花を心で狩るように、美しいものを射止めるには武器は必要ない。

弓を持たせない、鉄炮を持たせない、心で花を狩るような心持ちで私は仕事をしたい。》というメッセージが込められているのだそうだ。


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たっぷり3時間半、美術館を堪能し尽くして外に出ると、少し日が陰りはじめていた。

真っ白な煉瓦壁のこの建物が雪に包まれる頃、その景色はより一層美しいだろうなと想像しながら…今夜のお宿へ向かって、「旅はつづく」。

peacefulな一日《ヨギ市》

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9月25日。あっぱれヨガ日和な日曜日。

ヨガのレッスンと市場が合体した「ヨギ市」

無事開催されました。


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オープン15分前。ヨギ市主催スタッフの皆さんと出店者たち全員が輪になって、短い瞑想をする時間がありました。

どんなに忙しくても心がざわついていても、安座を組んで心を鎮める時間をとる。ヨガ実践者にとっては大切なひととき。

スタート前のこんな儀式が、ライブ直前のミュージシャンや試合前の選手たちの円陣「オー!」とはまた違う、ヨギバージョンなのは何だかいいなぁと思いました。


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会場の会館は元幼稚園だった平家の一軒家でかなり古い建物と見受けますが、手入れが行き届いていて流れる空気がとてもきれいなのです。

私のお店はD室の「ビューティールーム」。


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大きな窓から日差しが差し込む暑い部屋だったので、スタッフさんが運んできてくれた扇風機がありがたかった。

このたまらなくノスタルジックな扇風機の、デザインと色の美しさ。持って帰りたいくらいでした。

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嘘とミシンのお店はこんな風にディスプレーしました。白地に黒ドットの大きな布をしいて、カラフルな小物たちが引き立つように。


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スカル子ちゃんブローチやおばけガールズチャームを置いたハロウィンぽいコーナーには、ホーンテッドハウスを。大好きなツェツェの手のオブジェやコブレットは什器として。森のきのこチャームの前にはスウェーデンの古いきのこ本を飾ったり。

1日限りのお店ではありますが、お店に立ち寄ってくれる方それぞれに何かひとつでも発見があることを願って、楽しくディスプレーしました。

 

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ハンドメイドのイベントではないので、正直どれほどの方が見てくれるだろうかと思いながらも、今回も全力で作品を用意しました。

ですがオープンしてみれば朝すぐに私に会いにきてくれお買い物をしてくれた方や、ずっとお会いしたかったお馴染みのお客さまなど、時間を作って足を運んでくださった方がいらしたことに感激しました。

そんな方々と直接お話ししながら、作品についてご紹介することができ、とても嬉しかったです。

 

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建物の周りはぐるっとテラスと芝生になっているので、お客さんや出店者さんたちと一緒に来た小さな子どもたちが自由に走り回っているのが見えました。

ママたちはおしゃべりしたり買い物したりね。実にほのぼの。


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ナマラステさんのお豆だらけのビーガンカリーと甘いチャイ。食べ物のお店が集まるCルームからカレーの香りがしてくるのに我慢できなくなり、11時にはお昼ごはんを決め込んだ私。

おいしかったなー。
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今回のタグは「Om shanti」の真言入り。ヨギ市特別バージョンを作りました。

お買い上げの方には感謝の気持ちを込めて、ハギレを留めたラッピングでお渡ししました。


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中央の体育館スペースでは5つのヨガレッスンがゆったりとした空気の中、進行していました。

皆さん気持ちよさそうに集中されている様子を羨ましく眺めていましたが、今回はお店があるので我慢。


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おしゃれなワンピースを着た小学生の女の子たちがキラキラした目で近づいてきました。「手にとって裏も表もじっくり見てね。そっとやちょっとじゃ壊れないように作ってるから大丈夫だよ」と言うと、「これ好き!」「キャンディがついてる!」「わぁ〜面白い!」などと口々に言いながら全ての作品を手に取って、細部まで本当によく見てくれたのです。

「これ欲しい!」と言ってお母さんにお金をもらって戻ってきてくれた女の子も。その子がまた友だちを連れてきてくれたりして、かわいいやら有難いやらで、、

とっても心が温まるエピソードを最後にご紹介しました。

 

大好きなヨガがご縁で今回出店のお声がけをしていただき、参加して良かったと充実感に浸っています。

今週末は楽しみなプチ旅行が待っています。少しだけ充電したら、次に向けて頑張ります。

ありがとうございました。

 

きっと風になって空を泳いでる

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8月も終わろうという頃、闘病中だった叔父がこの世を去りました。

母と弟である叔父はとても仲が良く、叔父が大学院生だった頃、私の家で一緒に住んでいたこともありました。幼かった私や妹と自然の中でたくさん遊んでくれ、また人生で大事なことを教えてくれた人でした。

衰えゆく姿から亡くなる数時間前までを傍で見届け、そしてお見送りまで。その怒涛の日々は思った以上に自分の心にダメージを与えていたようです。

そんな訳でまたまたブログをしばらくお休みしておりました。

 

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ぽっかりと心に穴が空いたまま、季節は秋に。

以前から楽しみにしていた展覧会の開催に合わせ、会いたい人に会いに、美瑛までドライブしてきました。

傷心日帰り旅です。


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トイレ休憩に寄ったおなじみ富良野六花亭

テラス席で新作のお菓子「花の首飾り」と無料サービスの珈琲でひと息つきました。

ここに来ると時が止まったかのように感じるのはなぜ…?それに空が高く、空気が澄んでいて心地よさ100%の富良野でした。


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富良野から30分、美瑛の丘陵地帯に入るとさらに時間の流れが緩やかに。

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美瑛の素敵なお店スイノカゴさんで始まったアンティークの展覧会「Skantique」展。

はるばるスウェーデンからやって来たSkantique店主のゆきこ嬢と約2年ぶりに再会できました。お互い変わらず元気に生きてあえることがこんなに嬉しいなんて…

大げさでも何でもなくて、最近は友人・知人の誰に会ってもそう思うことが多いです。(年なのか)


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Skantiqueゆきこさんが自分の足で探して買い集めてきたアンティーク品は、他では見ることができないユーモアや手仕事の優しさがある貴重なものばかり。毎度ため息がでるような素晴らしさなんです。この展覧会を東京ではなく美瑛でやってくれることの奇跡よ。

私は、スウェーデンの名産品、アンティークのスポーンコリのバッグを持ち帰ることにしました。

スポーンコリは、限られた職人さんが樹齢250年ほど経った松の木を薄く剥いで、手で編んでゆくスウェーデンの伝統工芸品です。

大きな蓋つきのカゴなどは大人が腰掛けても割れないほど丈夫なので、何代にも渡って愛用することを可能にするそうです。

 

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そしてもうひとつ出会ってしまった特別な品物がこちら。トナカイの角を削って作ったスカーフホルダーです。

なんと珍しや。スキーがモチーフになっています。

私にはじめてスキーを教えてくれたのは叔父でした。

猛吹雪のニセコの山で凍傷になりかけながら(←私がです)スパルタで教えてくれたおかげで、ワイルドな山スキーの面白さを知ることができました。

このタイミングで出会えた白いスキーのスカーフホルダー。縁だと思いました。

これからアクセサリーボックスからとりだすたびに叔父と心の中で会話をすることになると思います。

おしゃれだった叔父がそれを喜んでくれるといいのだけれど。

わたしは最悪。

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《わたしは最悪。》という変わったタイトルの映画を観てきた。英語のタイトルはTHE WORST PERSON IN THE WORLD

この邦題、賛否両論あるみたいだけど私は好き。映画を見終わったあとにこの邦題の意味が決して悪い意味ではなく、逆説的な意味を持っていると感じたから。

ユリヤ(レナーテ・レインスヴェ)という名の30歳の女性の恋愛事情に人生を絡めて描いた物語。

彼女の自由奔放な恋模様を見ていて感じたのは、

「恋に恋し、誰かに愛されている恋愛期間は、長い人生の中で一番輝いてる華の時代なんだなぁ」ってこと。ちなみに映画のフライヤーになってるこの写真。笑顔でどこかへ駆けていく彼女のこの表情は、二人目の彼との恋愛がまさに今始まった瞬間の顔である。「これから彼に会いにいくの!嬉しくて仕方ないの!」っていう、人生を謳歌しているとってもいい表情だと思う。

しかし最初は運命だと思った恋人でも一緒に生きていけるかというとそれはまた別の話で…

最初の彼とは結婚観の違い、二番目の彼とは知的レベルの差。それとちょっとした価値観のズレがだんだん大きくなり、あれだけ好きだった彼らにユリヤは別れを切り出す。戸惑う彼氏たちが哀れだったし最初の彼はのちに末期の腎臓癌にまでなって本当に気の毒だったけど、切り替えの早い彼女の姿は痛快でもあり。

大学で医学→心理学に転向→なぜか小説家の真似事→書店員→カメラマン。点々と「自分探し」をしながら、恋と同時に仕事に対しても悩みながらも本能の赴くままに突き進むユリヤ。見る人によっては「最悪」かもしれないが、都会に生きる現代女性の生き方として「最強」なのではないかなと感じた。

白夜や夕焼けが美しいオスロの街が舞台で、登場人物が皆んな美男美女だったのもあって映像はやたらスタイリッシュだったけど、リアルに共感できる部分が多い映画だった。

 

「わたしは最悪。」

監督: ヨアキム・トリアー
脚本: ヨアキム・トリアーエスキル・フォクト
出演: レナーテ・レインスヴェ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハーバート・ノードラム
配給: ギャガ
ノルウェー、フランス、スウェーデンデンマーク/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/128分