風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

映画

オッペンハイマー

ロバート・オッペンハイマーは、第二次世界大戦中の原子爆弾開発においてリーダー的役割を果たした人だ。「原爆の父」として知られる。 かなり前からクリストファー・ノーラン監督の映画「オッペンハイマー」は、アメリカで大ヒット、アカデミー賞で7部門も…

哀れなるものたち

祝・第96回アカデミー賞「美術賞」「メイクアップ・ヘアスタイリング賞」「衣装デザイン賞」受賞。そして「主演女優賞」にエマ・ストーン。 そりゃあそうでしょう! 鑑賞後も2.3日はぼーっと映像の世界に浸ってしまったほど、美術も衣装も独創的で豪華絢爛、…

枯れ葉

フィンランドのアキ・カウリスマキ監督。 世界中の戦争や紛争に嫌気がさし、引退宣言を撤回してまた映画を撮ることにしたという。 「枯れ葉」は貧しく孤独な中年男女、ホラッパとアンサが出会い、じれったいほどゆっくりと愛を育んでいく温かなお話だった。 …

ゴールデンカムイ

漫画「ゴールデンカムイ」の実写版。 「山﨑賢人が不死身の杉元を演るってどうなんだろう。線が細すぎるし美しすぎないかな?」と思っていたけど、筋肉をつけて増量した身体は逞しくてかっこよく、身体能力の高さに目を見張った。 映画として見せ方が起伏に…

カラオケ行こ!

「カラオケ行こ!」が笑って泣けてすごくいい映画だった。 2月は私にとって神様みたいな海外監督の作品の公開が目白押しだから、忙しくてもう行けないけど、可能ならもう一度観たいくらい好きな作品だった。 この映画、合唱部部長の中学3年生の聡実くんと、…

22年ぶりの「アメリ」

新年最初に観る映画はデジタルリマスター版でスクリーンに蘇った「アメリ」と決めていた。 初公開されたのは22年も前のこと。 渋谷のシネマライズに並んで、満席のシートで見たことを思い出す。 毒があってファンタジックな世界全開のジャン=ピエール・ジュ…

PERFECT DAYS

今年最後に観た映画がこれで良かった。 ヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」。 この映画の主人公、平山さん(役所広司)の仕事は公共トイレの掃除をすること。 規則正しい生活をし、無駄のない動きと真摯な姿勢でトイレをぴかぴかに磨く平山さんを見…

オオカミの家

2018年、チリの監督レオン&コシーニャが作ったストップモーション・アニメ映画「オオカミの家」。 このポスターから放たれる、ただならぬオーラに「これ絶対好きなやつ」と直感して夜のシアターキノに出かけたら、狭いロビーは溢れんばかりの若者たちが。(…

ジェーンとシャルロット

シャルロット・ゲンズブールが、母であるジェーン・バーキンを撮影した初の長編監督作品 「ジェーンとシャルロット」を観てきた。 私は20代の頃、セルジュ・ゲンズブールをきっかけに60年代のフレンチポップスに夢中になった。そこからフレンチカルチャー、…

Barbie

「マーゴット・ロビーが実写版バービー役。そんなん、かわええに決まっとる!」と思って「Barbie」を観に行ってみたら、問題提起だらけの濃い内容で驚いた。 夢のバービーランドの主人公、バービーは、あることをきっかけにボーイフレンドのケンと一緒に人間…

君たちはどう生きるか

宮崎駿 監督・脚本作品「君たちはどう生きるか」 前宣伝をほとんどせずに公開するの流行ってるの?最近だと映画「スラムダンク」にドラマ「VIVANT」。 「君たちはどう生きるか」は、事前公表されたのはこの圧強めのポスターのみで、声優も中身も一才事前通知…

Pearl パール

タイ・ウエスト監督 A24制作映画「Pearl パール」。 このポスターと予告編をみて「これは好きだぞ!」と第六感が働き、レイトショーで観てきました。 1918年のテキサス。のどかな農場。 動物たちと戯れるパールの姿が映し出されるところから映画は始まるのだ…

怪物、露伴、東リべ2

6月に観た映画は邦画ばかりを3本。 坂元裕二脚本、是枝裕和監督の作品「怪物」。 怪物とは一体何者なのか、それを知りたくて足を運ぶ観客は多いだろう。 学校。教師。親。それとも子どもたち? わかりやすい怪物は物語の冒頭ですぐ現れるのだが、それよりも…

RRR

S・S・ラージャマウリ監督の《RRR》 ここ最近観た映画の中でも突き抜けて面白かった! さすが映画大国インド。スケールの大きさ規格外!エキストラの数、ラストエンペラー超え(個人的体感) 舞台は1920年、英国植民地時代のインド英国軍にさらわれた幼い少…

バビロン(と夢の話)

先日観た映画「BABYLON」。 賛否両論あるが私は嫌うことはできなかったな。 冒頭の豪華絢爛・狂乱の宴のシーンをぶったぎって「BABYLON」のタイトルバックがどーんと出るところまでは「ラ・ラ・ランド」を上回るインパクトがあった。ここまでは観客に思考す…

THE PINK CLOUD

ピンクの背景にグレーのタイトル文字。 このフライヤーの色合いとデザインに惹かれて観に行った映画「ピンク クラウド」。 ある日突然、世界中の空にロマンティックなピンク色の雲が現れる。 しかしこれが空気を吸いこむと10秒で死んでしまうという猛毒を持…

LAMB/ラム

大変、終わっちゃう〜と土曜の夜、急いで見に行ったヴァルディマル・ヨハンソン監督・A24配給映画「LAMB/ラム」。札幌でも上映してくれるところがあって良かった。 《アイスランドの山間で羊飼いをしている夫婦・イングヴァルとマリア。クリスマスの夜に産…

耳をすませば

平川雄一朗・監督・脚本「耳をすませば」を観てきました。 1989年「りぼん」で連載された柊あおいの漫画が原作で、そのあとジブリによってアニメ化された不動の名作。その実写化ということで、原作ファンには批判されて当たり前みたいな空気の中、製作陣には…

わたしは最悪。

《わたしは最悪。》という変わったタイトルの映画を観てきた。英語のタイトルはTHE WORST PERSON IN THE WORLD この邦題、賛否両論あるみたいだけど私は好き。映画を見終わったあとにこの邦題の意味が決して悪い意味ではなく、逆説的な意味を持っていると感…

歌声、赤髪

原作・原泰久「キングダム」週刊ヤングジャンプ連載/東宝・ソニー・ピクチャーズ配給 少年マンガやアニメの面白さを教えてくれたのは息子だ。もしも私の子どもが女の子だったら知らずにいた世界だったかもしれない。 先日、パート1の上映から3年の時を経てや…

ベイビー・ブローカー

あまり客足が伸びていないと見えてあっという間に上映回数が減らされてしまった。 是枝裕和監督作品『ベイビー・ブローカー』。 韓国の大スターたちを是枝さんの脚本で撮るとどうなるの?と興味津々だった映画を、観に行くことができた。 孤児院の赤ちゃんポ…

忘れた頃に阿部サダヲ

だいぶ前になるけれど、13年ぶりに監督業に復活したレオス・カラックスの「アネット」を映画館で観た。 人気スタンダップ・コメディアン(アダム・ドライバー)とオペラ歌手(マリオン・コティヤール)。その二人の間に生まれた娘アネットの波瀾万丈な人生を…

流浪の月

流浪の月・凪良ゆう 《親の無償の愛で保護されるべき子供時代に、それぞれの家庭で深く傷ついてきた大学生の文(ふみ)と小学生の更紗は、雨が降る公園のベンチで運命的な出会いをする。世話になっている叔母の家にはある事情があって帰りたくない更紗。そん…

ベルファスト

今年のアカデミー賞で脚本賞を獲ったケネス・ブラナーの自伝的映画「ベルファスト」を鑑賞してきた。 北アイルランドの首都ベルファストを舞台に、9歳の少年バディを取り巻く日常と異教徒同士の宗闘争に翻弄される人々の物語だ。 信じてる宗教が違うからとい…

余命10年

「余命10年」。 あまりにも直球なこのタイトルを見た時「また恋人が不治の病で死ぬ系の映画か〜」と思った。 なのになぜ観に行ったのかというと、それは映画「新聞記者」やドラマ「アバランチ」(演出)などの藤井道人さんが監督だったからだ。 そして脚本は…

Coda あいのうた

偉大な師との出会いで思春期の子どもの進路が大きく変わる時がある。 映画の中とはいえ、そんな美しい瞬間に立ち会ったとき、魂が震えるのを止められなかった。 監督・脚本シアン・ヘダー「Coda あいのうた」。 歌が好きでその才能を開花させた17歳の少女ル…

ドライブ・マイ・カー

海外の映画祭でも注目を集めている濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」。 自分はどう感じるか知りたくなって特別上映会をやっていたシネコンのレイトショーで「ドライブ・マイ・カー」を観た。 妻を亡くした男(西島秀俊)の話ということしか知らず、実…

HOUSE OF GUCCI

1月に観た「HOUSE OF GUCCI」は、ひとりの悪女によって狂わされたGUCCI創業者ファミリーの栄枯盛衰の物語であった。 リドリー・スコット監督と豪華俳優陣の競演による《世界仰天ニュース・ゴージャス版》といえば良いだろうか。 日本で言えば経営を巡って親…

GUNDA

そんなに大したことをしていないんだけど、何だか気忙しい年の瀬。 家事の合間に時間を作って、今年最後になる映画を観にシアターキノへ行ってきた。 ラストの作品はヴィクトル・コサフスキー監督のドキュメンタリー映画「GUNDA」。 映画は全編モノクロ、ナ…

マルジェラが語るマルタン・マルジェラ

ライナー・ホルツェマー監督ドキュメンタリー映画「マルジェラが語るマルタン・マルジェラ」をおしゃれな友人のお誘いを受けて観てきた。 マルタン・マルジェラは、1988年にブランドをスタートさせ2008年のコレクションを最後に突然引退した伝説のデザイナー…