見ようと思う映画や展覧会はスタートと同時に出かけるようにしなければ、「あれ?もう終わってた?」となることが多い。
どこかのカフェで手に取ったこのフライヤー、ひとめでこの色づかいに惹かれた。
で、吉田卓矢さんの絵の展覧会「自由な息吹」展を観に行ってきた。
プロフィールによると吉田さんは17歳で単身NYに渡り、絵や彫刻の勉強をしてきた人。現在は海の町・蘭越に住み、制作活動の傍、アートスクールを主宰しているそうだ。
絵にはあらゆるきれいな色が溢れていたが、とくに黄色に紫を合わせる色彩のセンスが素敵で、自分にはとても響いた。
描いているのは動物と人間と自然が仲良く共存している、楽園のような世界。
「あの絵を生地にして、ワンピースを仕立てたらかわいいだろうなぁ」と想像したり、「背景がネオンピンクのあのシマウマの絵が欲しいなぁー」など考えながらギャラリーを3周した。
展覧会の会場となった庭ビルディング内の同じ階にはろばのこ という子どもの知育玩具と絵本を扱うお店が入っている。
展覧会と同じくらいの長い時間をかけて、ここで絵本を数冊読み耽った。
息子と一緒に絵本を楽しんだ夢のような時はとうに過ぎたが、私はひとりでも相変わらず絵本を収集していて、時々それらを読む時間を大事にしている。
今回は福音館の科学読本「たくさんのふしぎ」シリーズから出た「イカは大食らい」を買って持ち帰ってきた。
私は、イカとタコの造形が大好きだ。
とくに七色にキラキラ光るイカは、海の生物の中でも群を抜いてイケてると思う。
長い2本の触腕と8本の足、大きな目玉、三角のヒレに長い胴体。
軟体動物であるイカのそのユニークな存在が好きで「イカとタコのラブポーチ」を作ってしまったくらいだ。
「イカが大食漢」とはどういうことか。
海の中でイカは自分の体よりも大きい魚を長い触腕で捕らえ、吸盤がついた8本の足で羽交い締めにして、目の下に潜む鋭い歯で獲物に食らいつき、バリバリと長い時間をかけて咀嚼するというのだ。
その姿を想像すると怖い。あのスリムな身体にさまざまな魚が吸収され、彼らの血や肉になっているかと思うと。
大食漢だからなのだろう、生まれた時は1gほどの重さだったイカは、一年足らずで大きいものだと5000倍の5kgの成体になるそうだ。
そして、イカの寿命はわずか1年ということも初めて知った。
人間たちは1年しか生きられないイカを捕らえ、食料としているんだ。
なんともしんみりしてしまう話だが、海の中でクラゲのようにキラキラ光り、すごいスピードで泳ぐ名ハンターであるイカをますます好きになった。