ライナー・ホルツェマー監督ドキュメンタリー映画「マルジェラが語るマルタン・マルジェラ」をおしゃれな友人のお誘いを受けて観てきた。
マルタン・マルジェラは、1988年にブランドをスタートさせ2008年のコレクションを最後に突然引退した伝説のデザイナーだ。
マルジェラといえば、日本の足袋のデザインを靴に落とし込んだ「足袋ブーツ」。所有しているファッションフリークも多いだろう。
私はマルジェラの洋服や小物はひとつも持っていないが、エルメスのデザイナーまで勤める程有能だった彼が突如51歳でファッション業界から身を引いたという、その謎にも興味があった。
幼少期、ドレスメーカーだった祖母の影響でデザイナーを志し、アントワープ王立美術アカデミーを卒業。その後デザイナーとして初めて作ったのがバービー人形のための洋服だったというから、すでに変わっているというか、本当に洋服が好きだったのだろう。
のちのコレクションでBarbieとkenの洋服のサイズ感をそのまま人間の洋服にした(つまりファスナーやベルトなどのパーツがかなり大きい)コレクションを発表したり。
モデルの顔を布で覆ったり、全ての服に手で縫い付けられたタグに通しナンバーがスタンプされているなどは有名な話だが、服そのものを見て欲しいという思いや、服を流行り物や消耗品として扱わないという意志を表したのは、当時は珍しいことだっただろう。
そんな実験的で構築的なコレクションや舞台裏が、時系列で見られて面白かった。
映画で紹介されたマルジェラのアトリエの一部。色がほとんど白と黒だし、整ってないけど美しく、あたたかい印象を受けた。
以前、マルジェラを愛用している知り合いに「マルジェラの服はところどころにハンドメイドの良さがあって、着心地がとても良く、長く着られる。何よりも温かみを感じる。」と聞いたことがある。
そして、そんな風に毎シーズン洋服づくりに真剣に取り組んでいたマルジェラが、なぜデザイナーを辞めてしまったのかを、映画から知ることは結局出来なかった。
(満腹で途中寝てしまったのがいけなかったのか??見逃してる??)
この日の私の足元。マルジェラの世界とは違うが、パープルのタイツに豹柄の靴を合わせてみた。勝手にカトリーヌ・ドヌーヴをイメージした色・柄合わせだ。
一緒に映画を見た友人というのは、いつもお世話になっている雑貨店fèveのカリスマ店長(笑)。
いつも抜群のカラーバランスで全身コーディネートをしているおしゃれなひとで、映画を見た日はモーヴがかったパープルとオレンジの色合わせがとても素敵だった。
しかも、ナタリーレテの新作のトートバッグに嘘とミシンのノエルきのこがぶら下がっていて、嬉しかった!
私はファッションが大好き。だから、デザイナーの哲学と意志が感じられる服しか着たくない。こんな時代だからなおさらだ。
ジョン・ガリアーノがデザインしている今の「メゾン・マルジェラ」のショップをこんど覗きに行こうと思う。