風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

吉祥寺ドリーミン

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なんだか去年以上に親しい人たちと気軽に会えない日々が続いている。

気の合う人と他愛のない話をして笑い合うのはもちろん、『どうでもいいけど実は大事なことを情報交換する』ということが、以前の様に出来なくなっていてモヤモヤする。

だからなのか。好きな作家がコロナ禍に何を思うのか知りたくなって、この本を手にした。

山田詠美「吉祥寺ドリーミン てくてく散歩おずおずコロナ」(小学館)。

 

「女性自身」で連載していたエッセイをまとめた『吉祥寺デイズ』の第2弾だ。

ふだんから「言葉の小姑」または「言葉尻番長」を自認する詠美さん。

今回はコロナ禍において生まれた妙な言葉や最近の政治に苦言を呈していて、胸がすく思いだった。

言葉の話でいえば例えば「ステイホーム」から派生した「おうちじかん」。「東京アラート」「お仕事」(いい大人が自分の仕事に『お』をつけるな!ってこと)「『⚪︎⚪︎させて頂く』の乱用」などなど。

「ウィズコロナ」から始まって特に小池知事の発するカタカナ言葉のセンスには疑問を感じていたので「ですよね!」と心の中で相槌を打った。

 

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美しい日本語で綴られたとりとめのないコラムには心を穏やかにさせる作用がある。

自粛の世の中でも旦那さんとの散歩や昼飲みを楽しみ、ほんの小さなことに幸せを感じておられる様子には親近感を覚えたし、同じだなぁと安心したりした。

それと、美味しいものの話の中で、スギヨのカニカマ「香り箱」を絶賛していた。これにも「同感ですよ、詠美さん!」と言いたくなった。

「香り箱」はほんの少し高級(といっても300円くらいだ)だけど、香りも見た目もその再現度はカニカマ界のキングだと思っていたから。

 

詠美さんの小説が読みたくなって今は「つみびと」を読んでいる。

こちらは幼児虐待の恐ろしい話なので、震えながら。