風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

ベルファスト

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今年のアカデミー賞脚本賞を獲ったケネス・ブラナーの自伝的映画「ベルファスト」を鑑賞してきた。

北アイルランドの首都ベルファストを舞台に、9歳の少年バディを取り巻く日常と異教徒同士の宗闘争に翻弄される人々の物語だ。


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信じてる宗教が違うからといって、なぜ他人を弾圧できるのだろう。暴力で人をどうにかしようなんて考え、間違っている。

プロテスタント武装集団に突如襲われ、街を破壊される理不尽な様子と、ウクライナの惨状が重なって見えて仕方がなった。


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でもどんなに辛い戦時下にあっても、いつの時代も子どもたちの無垢な明るさは大人たちの希望だ。

バディが学校から直行するのは近くに住むおじいちゃんとおばあちゃんの家。

バディの小さな初恋を同じ男として後押ししてくれる優しいおじいちゃん。時には人として絶対に譲ってはいけない大切なことをユーモアを交えて教えてくれた。そんなおじいちゃんを毒舌でやり込めるおばあちゃん。

この三人の関係性がとっても良いのだ。

100%自分を甘えさせてくれる場所があるって小さな子にとっては幸せなこと。私も祖父母のことを懐かしく思い出しながら、この楽しい時間が永遠ではないことを知っているから切なくなった。

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家族で映画館に出かけるひとときを大事にしていた一家。ベルファストの抗争はいよいよ激しくなり、父親は大切な家族を守るために故郷を離れることを決断する。

映画のラストで、ベルファストに残ることにしたおばあちゃんが彼ら一家を見送りに来る場面があるのだが、このシーンのカッコ良さが忘れられない。

1時間35分と短い映画。構成がよく端的にまとめられていて全体的にスタイリッシュなのだが、ケネス・ブラナーがこの映画で伝えたかったことは最後のおばあちゃんの台詞に集約されていたと思う。

そしてこのおばあちゃんを演じたのは、イギリスの名優・ジュディ・デンチ。前代の「007」指令官Mを演じた女優だ。

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ほんと、かの国の大統領も007の世界のようにMとボンドにシバかれればいいんだわ、と思う今日この頃だ。