風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

空白を満たしなさい andドラマ雑記

f:id:usotomishin:20220802235434j:image

NHK土曜ドラマ「空白を満たしなさい」が全5話で終了した。稀に見る傑作だった。

自殺を疑われたまま死んだ男が、3年後に生き返って突然妻の前に現れる。

最初は死の真相を追うSF的ヒューマンサスペンスかと思っていたら、最終的に「私はなぜ生きるのか」という哲学的な問いの答えを観る者に考えさせる深い話に辿り着いた。

柄本佑鈴木杏阿部サダヲの演技の凄まじさに毎回くぎづけになった。表情はもちろん、声の出し方、動作、そのすべてに繊細な感情の移り変わりを乗せるのが天才的にうまい3人。

このドラマは平野啓一郎さんが書いた小説が元になっている。もちろん脚本は十分素晴らしかったのだけど、切り取られた台詞の背景について詳しく知りたくなり、本を買ってきて読み始めている。

 

f:id:usotomishin:20220804130124j:image

 

と、ここでついでに《2022年4月スタート春期・嘘ミドラマ大賞発表》!!

 

「空白〜」のような自分にとって非の打ち所がない名作ドラマは年に数本あるかないかだけれど、

今年4月スタートの春ドラマの中ではナンバMG5」(フジテレビ)は完成度が高く、一本筋が通った青春学園ドラマだったと思う。

役によって変幻自在な間宮祥太朗が今回は「普通の青春がしたい」と願うヤンキー家族の次男、主人公の難波剛を演じた。剛は家族の手前、普段は特攻服を着て仲間を助けるために派手にケンカをするが、実は内緒で普通の高校に通い、成績優秀で生徒会長まで務めるという二重生活を送っていた。その様子がコミカルで笑えるんだけど話はそれだけでなくて、友情、恋愛、ちょっぴり社会問題、それに家族愛まで全部ぶっ込んでいるにも関わらずよくまとまっていたし、毎回とにかく元気をもらえる楽しいドラマだった!

ヤンキードラマでは「今日から俺は」も大好きだったけど、「ナンバMG5」はそれ以上かも。続編を期待。

 

f:id:usotomishin:20220804130251p:image

「マイファミリー」(TBS)は日曜劇場枠らしいスケールの大きさで任せて安心の面白さだった。最近サスペンスドラマは犯人の考察をするというより「個性の強い推しキャラを見つけて応援&物語の流れに身を任せる」という楽しみ方をしているんだけど、犯人はまさかのサンドイッチマン・富澤さんだとはね。ニノの演技していないみたいな自然な台詞回しや振る舞いもさすがだった。

f:id:usotomishin:20220804130323p:image

インビジブル」(TBS)は犯罪集団「クリミナルズ」を追う刑事(高橋一生)が犯罪コーディネーター(柴咲コウ)とバディを組んで、未解決の凶悪犯罪を解決していく話。じつはクリミナルズの頭は警察内部の検察官(桐谷健太)だったっていうよくあるオチだったのが残念だった。が、柴咲コウの住む洋館と衣裳とティーセットが毎回豪華で美術が凝ってた点は楽しめた。あと「凪のお暇」や「カルテット」とは全く違う、笑わないクールな高橋一生もステキだった。

f:id:usotomishin:20220804130524p:image

f:id:usotomishin:20220804130541p:image

恋愛ドラマは食器デザイナーの純(広瀬アリス)とレストラン勤務の柊磨(松村北斗)のぬるい恋愛模様を描いた「恋なんて本気でやってどうなるの?」(カンテレ)と、ヨガインストラクターの娘(上野樹里)と辞書編集者の父(松重豊)それぞれの恋愛と結婚を描く「持続可能な恋ですか?」(TBS)の2本を。

どちらもキャストは良かったのに〜。キャラはぶれたりぼやけたり、最終回は「そりゃないでしょー」な自己中でお寒い展開もあって私の評価は低し。

恋愛ものは恋するふたりにどれだけ共感できるかが大事で、トキメキに丁寧な裏付けと説得力がないとだめ。

あと話を広げすぎると回収するのが難しくなると思うが、散らかした以上、最低そこはちゃんとやってほしいな。

三谷幸喜山田太一向田邦子倉本聰坂元裕二木皿泉渡辺あや大石静岡田惠和三谷幸喜井上由美子…。好きな脚本家は書ききれないほどたくさんいるけれど、彼らはほんとすごいんだと改めて思う。

 

f:id:usotomishin:20220804170926p:image

あ、落ちぶれた元ボクサーのキムタクが高校のボクシング部を勝利に導くスポ根もの、「未来への10カウント」(テレビ朝日もなんだかんだで最後まで観てしまった。48歳の悲哀を感じる役どころだったけど、キムさまは何やってもキムさま。はい、カッコいいですね。