風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

青森・りんごの旅①「つづく」

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今年の秋のひとり旅は、中学校の修学旅行以来の青森へ!千歳空港から青森空港までの飛行機は乗ったと思ったら着陸した。その間たったの35分。

上空から海を見ている時「泳いでも来れるのではないか?」と思ってしまうほど近かった。


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空港から歩いて1分のレンタカーショップで予約していた車を引き取り、すぐそばの青森県立美術館に直行した。

「東京」→「神戸」→「福岡」→そして「青森」へと巡回してきたミナペルホネン /皆川明《つづく展》を観るのが今回の旅の最初の目的だ。


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青森県立美術館は以前からその建築様式や展示の見せ方、学芸員さんの制服(ミナペルホネン製なのだ)など見どころがたくさんあり、ずっと来てみたかった場所だ。

美術館は三内丸山遺跡のすぐそばに建ち、まるで昔からある城砦のように土地に馴染んでいた。


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真っ白な外壁に展覧会のために特別にちょうちょが描かれていた。左上にはミナペルホネン のグラフィックデザインを多く手掛けてきた菊池敦己さんの「青い森」のシンボルマークが。


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ミナのテキスタイルで作られたクッションが埋まる入り口に、葛西薫さんがデザインした「つづく」の文字。この文字の色と形が本当に好きで後世に残る名作だなぁとつくづく思う。

 

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美術鑑賞は体力を使う。

まずは腹ごしらえと併設のレストラン「4匹のねこ」にて青森牛のピラフとアップルソーダを注文。

むむ、青森はもしかして味付けが濃いのかな。アップルソーダというよりはビールが合うしょっぱめな味付けだったが、馬力をつけるためにはちょうど良かった。


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3度目になる「つづく展」だけど何度見ても感じる。展示構成の美しさよ。


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「洋服の森」では無限にある洋服の組み合わせ方や色柄の豊富さ、技法の素晴らしさは博物館級だ。一着ずつじっくり観察してしまうので、この森からなかなか抜け出ることができない。

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左が私が愛用しているswingの麻のワンピースで右が妹のoasis。東京でも神戸でも私たち姉妹の洋服が仲良くならんでいるのを見つけて写真を撮ったのだが、今回青森でも違う組み合わせで出会えて嬉しかった。

私も妹もこれを着て、暴れん坊で幼かった子どもたちを連れて、汗だくでいろいろな場所へ出かけた記憶が残っている。もちろん今年も着ている大切な一着だ。


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写真真ん中のコートはsnow cookieという名前のテキスタイルで雑誌SPUR別注のコートだったはず。当時すごく欲しかったのだけど買えなかったので、再会できて幸せ。


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今年の秋冬の新作も飾られていた。刺繍の緻密さと図柄のゆるさの対比がすてきなこちらはforest diamond

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linnunlaulunorthern flowerのワンピース。

20年前の洋服も最新作も全部一緒に並んでいるのに、全く時代を感じさせないってすごいこと。


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皆川さんが神戸での展覧会のときに描いたLife puzzleという絵は、もはや芸術品だ。

さまざまな洋服にプリントされて大人気のテキスタイルとなっている。


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ブランド を代表するtambourineの刺繍は、機械で仕立てたあとに微調整をミシンで丁寧に行うそうだ。だからこそハンドメイドの味わいが感じられるのだと思う。

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ワンシーズンにひとつ生まれるtori-bag。その制作工程。膨大な量のカラーサンプルからその年のtoriさんが生まれるのを考えると楽しい。
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チェック、ボーダーなど普遍的なワンパターン模様から生まれるオリジナルのテキスタイル。

私は自由に何かを描いたテキスタイルや刺繍作品はもちろん好きだけど、シンプルゆえに力強いミナのボーダーのテキスタイルが実は大好きだ。

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ユニークなのはテキスタイルだけでなく、ここ数年の洋服はパターンも変わっていて、着たときのラインが美しく面白い。

carnival treeのワンピースはゴミ袋がヒントになって生まれた形。


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青森県立美術館がこんなに広いと思わなかった!

真剣に、そして心震わせながら展示を見て回ってすっかり喉がカラカラ。自販機で買ったHI-Cのリンゴジュースは東北限定・復刻バージョンだった。懐かし&おいし。

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「つづく展」は日本での巡回を終え、つぎは台湾で開催されるそうだ。台湾?なら行っちゃおうかな?って思っている。

 

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ミナペルホネン の展覧会のあとは美術館の主、奈良美智さんの「あおもり犬」にも会っておかねばならない。

長い階段を登っておりてしばらく歩いてやっと出会えたBIGな子!「あっ」と声が出る迫力だった。
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ここからは有料で観ることができるコレクションギャラリーのゾーン。地元出身の奈良さんの絵や彫刻作品がいつでも観られるなんて青森県民が羨ましい。
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とにかく広く入り組んだ作りなので、一瞬海外の美術館にいるような気がしたくらいだ。
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撮影禁止だったので写真は無いが、草間彌生さんの作品がたっぷり見られるコーナーもあった。とくに赤い水玉の豪華なパンプスのオブジェに見惚れてしばらく眺めていた。

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最後に、棟方志功先生(←なんだか先生と呼びたくなる人)の版画作品「華狩頌」にはとても感銘を受けた。

この作品には《動物を狩るには槍が必要だが、花を心で狩るように、美しいものを射止めるには武器は必要ない。

弓を持たせない、鉄炮を持たせない、心で花を狩るような心持ちで私は仕事をしたい。》というメッセージが込められているのだそうだ。


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たっぷり3時間半、美術館を堪能し尽くして外に出ると、少し日が陰りはじめていた。

真っ白な煉瓦壁のこの建物が雪に包まれる頃、その景色はより一層美しいだろうなと想像しながら…今夜のお宿へ向かって、「旅はつづく」。