美術館が建つメインストリートに着いてまず驚いたのは、普通に草間彌生さんの「愛はとこしえ、十和田でうたう」が遊具として置いてあったこと。
「まちに開かれた美術館」と謳っているが、開かれるにも程がある。草間彌生だぞ。
全く躊躇することなく、かぼちゃでかくれんぼしてるかわいい地元の子どもたち。
すぐそばにインゲス・エデーの巨大な「ゴースト」もいるし。
本物の住宅の間にエルヴィン・ヴルムの「ファットハウス」。
入り口で迎えてくれたのはチェ・ジョンファの「フラワーホース」。
美術館はおしゃれなデザイナーズマンションのモデルルームのよう。
回廊式になっていて、各部屋でアーティストの作品がひとつずつ観られるようになっていた。
最初に入った部屋に4mのおばあさんが立ちはだかりギロッと睨んでいた。
思わず「わ!」と声が出た。
皺っぽい肌の質感も象のような足首もリアル。
オーストラリアのロン・ミュエクの作品「スタンディング・ウーマン」。
中庭にオノ・ヨーコの「念願の木」という作品があった。本物のリンゴの木に来場者が願い事を書いて枝にぶら下げられるというもの。
普段あまり願い事をしない私だけど、今回は心配の種である息子のことを書いてみた。
天井にのぞき穴があって、椅子に登ってその上の世界を見られる仕掛けになっている。栗林隆「ザンプランド」。
もちろん私もやってみた。(何が見えるかはいつか行かれる人のために内緒にします)
はじめて知ったアーティストのことが一瞬で好きになることもある。
韓国のスゥ・ドーホーの作品「コーズ・アンド・エフェクト」。
美しく儚く、でも未来に続く普遍性みたいなものも感じた。
赤、オレンジ、半透明のグラデーションのシャンデリア。よく見ると、スカートを履いた女の子と半ズボンを履いた男の子のお人形が、肩車をして連なっているの。
脱力しながらも鋭い眼差し、でもニヤニヤしながら何かたくらんでいる。
こんな心持ちでいたいといつも思わせる、奈良さんの絵。
何度も言うけど美術鑑賞はお腹が空く。
ちょうどお昼前だったので青森のご当地名物、バラ焼きのお店に行ってみた。
《司・バラ焼き大衆食堂》さん。
甘だれに漬けた玉ねぎとこんもり盛られた牛バラ肉。先に玉ねぎをグツグツ煮て飴色になるまでじっと待って、それから牛肉を崩す。
ほんのり焦げた香りがしてきたら完成。
リンゴが入った甘いたれが絡んだそれらを口に運ぶと、白飯が止まらなかった。
ごはんはおかわりし放題!
ここのお店、元気な店員さんたちが、入店時は「ボンジュール!」
退店時は「ラヴィ アン ローズ!バラ色の人生を!」と声をかけてくれる。
それが何ともくすぐったいが、何だか嬉しくもあった。
失礼ながら「プレハブ小屋のような大衆食堂で、なぜフランス語なのだ?」と駐車場に向かう道中、考えてはっと気がついた。
「バラ焼き」に「バラ」をかけてるんだってことに。
あと青森弁がフランス語の響きに似ているというのもあるらしい。
…たしかに!