5月の末、日帰りで東京へ。
懐かしき雑貨店「魔女卵」で買ったあちゃちゅむの「いつでも眠たい人」の顔が刺繍された靴下を素足にはいて。それでも全く寒くないくらい、東京の街はもう初夏の気温でした。
昼に東京駅に着いたので、八重洲地下街にある南インド料理店「エリックサウス」でビリヤニと生ビールで昼食を。ここのビリヤニも店員さんの気持ちのいいサービスも、大好き。
ハーブやナッツが散りばめられスパイスがガツンと効いたビリヤニを食べると、腹の底から元気が湧いてきて、どこまでも歩いていけそう。(実際ものすごく歩いた)
今回は時間がとれず日帰り旅だったので、行先はふたつに絞りました。
まずはアメリカの絵本作家エドワード・ゴーリーの展覧会《エドワード・ゴーリーを巡る旅》を観るために松濤美術館へ。
美術館は渋谷の高級住宅地・松濤にあるため、極力外側の窓は小さめに作られ、そのかわりに真ん中に空洞を作って光を取り入れる構造にデザインされているのだそう。
外観はレンガが積み上げられた要塞のような佇まいだけど、中はお金持ちの邸宅風。回廊に沿う壁の曲線や螺旋階段が美しくて、ゴーリーが黒い線だけで描く優美で幻想的な世界にぴったりの場所だと思いました。
壁一面に展示された絵本の原画と対訳を眺めていると、もちろん絵そのものは凄いのだけど、あらためてゴーリーの絵本は柴田元幸さんの訳とのハーモニーがあってこそだということを感じました。
たとえば「うろんな客」の原題は「The doubtful guest」。「うろん」という言葉以上にゴーリーの絵にぴったりの日本語が他にありましょうか?
私のとくに好きな「金箔のコウモリ」の原画もあって嬉しかった。人物たちの着ている洋服の皺や装飾物一つ一つの線の細かさに見入ってしまい、つい時間を忘れそうになりました。
原画ばかりでなく、手がけていた舞台やバレエの美術にまつわる作品が展示されたコーナーもありました。
本当にどれも素晴らしかった!暗くて不穏で繊細で耽美的でエレガントで!
平日にも関わらず美術館にはゴーリーファンの人がたくさん来ていました。若い人もお年を召した人も、一捻り効いた個性的なおしゃれを楽しんでいる人が多くて、さすが東京、さすがゴーリー好き!なのでした。
大きな牡丹の花が描かれたルビー色の着物姿にハイヒール、頭には黒いお花のコサージュをつけた若い女の子がいたのですが、彼女は特にかわいかったなぁ。
さて、お次はメインイベントの代官山のミナペルホネンへ!
お店では、半年に一度の楽しみにしている次の季節の新作コレクションを見せてもらう予約をしていました。
「日常的な空想」をテーマにした2023・24年→秋冬の新作は、プリント、刺繍、織り、全ての手法にさらに進化を感じるコレクションでした。
ミナの洋服を纏うようになってから20年以上の月日が経つけれど、クローゼットに並ぶ歴代の洋服は全部大切なものばかりです。胸元に抱っこしていた息子がよだれを垂らした思い出のシルクのプルオーバーだっていまも現役。20年前の洋服と最新の洋服を一緒にコーディネートしたとしても何の違和感もなく、自分だけの装いになるところがまたいいと思っています。
滞在時間たった6時間の東京だったけれど、心のガソリン(きっとハイオクガソリン)が満タンになったので、また下半期も頑張れそうです!