風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

札幌・小樽 さくらだより

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5月に入って札幌にも桜が咲き出したので、

ヨガの帰り道に遠回りして公園の桜並木を歩いたり、短い春の景色を今年も楽しみました。

実は最近いろいろと身内のことで問題というか心配ごとがあって、悩んでいるうちに4月はあっという間に過ぎてしまいました。

でもこうして季節を楽しむ心の余力がまだ自分にはあることを励みに、ゆっくり向き合っていこうと思っています。


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疲れた心身には熱い温泉が一番。GW中の1日に、ふらり小樽の銭湯に行ってみました。

こちらは歴史のある「神仏湯」さん。

外観は至って普通の銭湯ではあるけれど、源泉掛け流しの浴槽があり、これがかなり熱めのお風呂であるということで(夫調べ)出かけた次第。

私は江戸っ子ではないけれどかなり熱めのお風呂が好き。ビリビリッとして身動きができないくらいの温度だと最高なのですが、こちらは42°Cの温泉だったので「まぁ、熱いかな。まだまだいける!」という感じでした。

 

脱衣所でオールヌードの地元のおばあちゃんたちに囲まれて、白いロングケープをまとって登場した私は明らかに余所者。

さっそく「どこから来たの」「ここのお風呂は古いけど手入れが行き届いていて気持ちいいんだよ」など口々に話しかけられてしまいました。

こういうやり取りは決して苦手ではないので、湯に浸かりながらお喋りを楽しみました。

おばあちゃんたち、近くで見ると顔はシワシワだけど、ピンク色の頬や優しい目元に素の美しさを感じます。おばあちゃんっていいなぁ。

子どもの頃、祖母の家のお風呂が熱過ぎたことや背中の皮が剥けるのではないかと思うくらい強く擦られたことを思い出して、すごく懐かしくなりました。


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お風呂のあとは少し車を走らせて海沿いの回転寿司のお店へ。旬のホタテや煮穴子がすごく美味しかったなー

小樽名物の「なるとの唐揚げ」も食べられるお店だったので、留守番している息子に「鶏半身揚げ」をお土産にオーダーした優しい私。


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この日は rei rickettsさんの「麗子さまバッグ」を持って。(岸田劉生の絵画《麗子像》の麗子さまです)

小樽の桜は札幌よりも花びらが大ぶりで好きなのですが、ここの桜はとくにお気に入りなんです。

◎レイ・リケットさんのオンラインショップ

楽しいので覗いてみてください!

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reiricketts

それぞれの春

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3月は珍しく息子と一緒に買い物に出かける機会が多かった。この春からの新生活に必要なものをいくつか揃えなければいけなかったので。

入学式で着るスーツに通学用の洋服、スニーカー。それにメガネ屋さんにも行った。

お洒落なフレームがいっぱい並んでいるのに、とにかく息子は「強そうに見えるやつ」というよく分からない基準で選ぼうとする。彼独自の基準に合うのがどうやら細めのシルバーフレームだったようで、それは私からすれば「ヤクザの若頭風」なのだ。

趣味が合わず買い物は盛り上がりに欠けた。

 

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卒業、異動。毎年このシーズンは札幌を去る友人・知人がいる。今年も、仲の良い友人が子どもの進学を機に東京に行くことに。

先日、その彼女を囲んで仲間たちで送別ディナー会を開催した。


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美しいタイ人の女性が作る繊細なタイ料理が食べられるMoon Thai Cafe - Thai Restaurantさん。

全員夜の外食は久しぶりだったのもあって、まるで掛け合い漫才のように話が尽きず、笑いも絶えなかった。

良い関係の仲間たちにあらためて感謝の春の宵。


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大学が春休みなので関西から姪のふーちゃんが帰ってきた。アルバイトでたくさん稼いだらしく、私に豪華なお土産を買ってきてくれた。

大好きな、京都の和菓子屋「鍵善良房」の烏帽子しるこ。分かってるねぇ。センス育ってるねぇ。

というより、こんな心遣いをしてくれるほど大人になったことがしみじみ嬉しい…


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そんな姪と、母と妹も一緒にカフェでクレープを食べながらお茶をした。

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ふーちゃんはミナペルホネン の京都店に頼んでリメイクしてもらったデニムを履いていた。

ヤクザメガネに黒いパーカーなどしか着ない厳つい息子と違って、ふーちゃんは軽やかでかわいい。


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そして週末は息子の大学の入学式があった。

保護者は式に参加できなかったので、大学まで車で送ってやったあと、私は近くのカフェでゆっくり過ごした。

学びたいことがあって自分で掴んだ大学生活。

順当に行けば社会に出るまであと4年。思いきり自由に楽しんで人間的に成長してほしいと心から願う。

 

スパイスがなければ

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以前円山にカレーの店舗があって今は親子で商品をオンラインで販売されている「南インド屋」さん。

最近、ビリヤニキットとスープカレーのスパイスセットなどを届けてもらった。息子さんがスパイスを作り、お母さんがレシピやパックの絵を描いている。

私は辛すぎる味つけは苦手だが、スパイスが効いた食べ物が大好き。複雑なスパイスの香りを鼻から肺に深く通す時、まだ見ぬ異国の地に飛んでいったような、世界が変わるような気分になる。


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そしてこの「4種のチャイのティーバッグ」も最高だった。もともとお店で出してくれたチャイは、他所のカフェなどで飲む優しいだけの腑抜けのチャイとは香りの個性がまるで違って美味しかった。ガツンと脳と血管に効くチャイというか。

ずっと昔、エジプトの市場で出会ったおじさんが手作りのチャイをマイカップに入れてご馳走してくれたことがあった。(今思えばゆきずりのおじさんのチャイをよく飲んだものだ。睡眠薬が入っていてもおかしくない状況だったのに)

それを飲んだ時、スパイスの香りが強く味わいが深くて衝撃を受けたのだが、あの時の味に似てるのだ。

ひと家事終えて、丁寧に茶葉とスパイスをお湯と牛乳で煮出す時間は至福のひととき。もう無くなってしまったので、次回は30杯分とれるビッグサイズを注文しなくては!

 

スパイスついでにいうと、人も香りやスパイスが効いてるほうが好きだ。

ノーメイクで無臭な人もそれはその人のポリシーだから他人がどうこう言うものではないけれど、丁寧にメイクしていたり、香りのおしゃれをしている人が素敵だなぁと思う。

そしてたとえクセがあって多少面倒くさくても、正直に生きていて独自の意見を言える人が好きだ。

さまざまな出会いと別れがあり、いま私の周りに残ってくれている友人たちも、そういう人ばかりのような気がする。

 

スパイス好きな方はぜひ!

南インド屋

ベルファスト

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今年のアカデミー賞脚本賞を獲ったケネス・ブラナーの自伝的映画「ベルファスト」を鑑賞してきた。

北アイルランドの首都ベルファストを舞台に、9歳の少年バディを取り巻く日常と異教徒同士の宗闘争に翻弄される人々の物語だ。


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信じてる宗教が違うからといって、なぜ他人を弾圧できるのだろう。暴力で人をどうにかしようなんて考え、間違っている。

プロテスタント武装集団に突如襲われ、街を破壊される理不尽な様子と、ウクライナの惨状が重なって見えて仕方がなった。


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でもどんなに辛い戦時下にあっても、いつの時代も子どもたちの無垢な明るさは大人たちの希望だ。

バディが学校から直行するのは近くに住むおじいちゃんとおばあちゃんの家。

バディの小さな初恋を同じ男として後押ししてくれる優しいおじいちゃん。時には人として絶対に譲ってはいけない大切なことをユーモアを交えて教えてくれた。そんなおじいちゃんを毒舌でやり込めるおばあちゃん。

この三人の関係性がとっても良いのだ。

100%自分を甘えさせてくれる場所があるって小さな子にとっては幸せなこと。私も祖父母のことを懐かしく思い出しながら、この楽しい時間が永遠ではないことを知っているから切なくなった。

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家族で映画館に出かけるひとときを大事にしていた一家。ベルファストの抗争はいよいよ激しくなり、父親は大切な家族を守るために故郷を離れることを決断する。

映画のラストで、ベルファストに残ることにしたおばあちゃんが彼ら一家を見送りに来る場面があるのだが、このシーンのカッコ良さが忘れられない。

1時間35分と短い映画。構成がよく端的にまとめられていて全体的にスタイリッシュなのだが、ケネス・ブラナーがこの映画で伝えたかったことは最後のおばあちゃんの台詞に集約されていたと思う。

そしてこのおばあちゃんを演じたのは、イギリスの名優・ジュディ・デンチ。前代の「007」指令官Mを演じた女優だ。

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ほんと、かの国の大統領も007の世界のようにMとボンドにシバかれればいいんだわ、と思う今日この頃だ。

ドライブ・マイ・カーまつり

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昨日は、45回目の「日本アカデミー賞」の授賞式をテレビの前で(かぶりつきで)見た。

レッドカーペットを歩く華やかな映画スターたちの姿は、この暗い世の中において、大袈裟でも何でもなく日本の宝で、勇気をくれる光のような存在だと思う。

そして一映画ファンとして偉そうな発言をさせて頂くと、ここ2.3年の全体の選考結果は、だいぶ配給会社やテレビ局などへの忖度なしに行われてるような印象がある。

グランプリを受賞した作品だけみても、今年は「ドライブ・マイ・カー」。去年は「ミッドナイトスワン」でその前の年は「新聞記者」だ。

 

今年の助演男優賞は、「孤狼の血 level 2」の恐怖の上林組長を演じた鈴木亮平さんの手に。

壇上に並ぶ他の役者たちも、テレビや映画で何作品も観てきている大好きな人たちばかりで嬉しくなった。

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主演男優賞にノミネートされたメンバーも、誰にあげても文句なしの名優ばかり。

大賞は「ドライブ・マイ・カー」の西島秀俊さんだったが、個人的には「すばらしき世界」の役所広司さんが本当に魅力的な役柄と演技だったので獲って欲しかったな。

でも2021年は「ドライブ・マイ・カー」が海外の映画祭でも賞を獲りまくっているのだから、その流れは仕方ない。


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主演男優賞に揃ってノミネートされたトップコートブラザース。

正統派タキシードスーツの桃李くんは、もしかして去年と同じものを着てる?と思うくらい「普通」でそこが素敵だし、菅田くんはさすが常識を覆すお洒落異端児なコーディネートだった。

他にも、俳優たちが壇上で受賞コメントに社会情勢を気遣う言葉を含めたり、役所広司さんが衣裳にウクライナへの気持ちを込めたアイテムを忍ばせていたり。映画人がこうしてメッセージを発するのは素晴らしい事だと思う!


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女優陣では「花束みたいな恋をした」で有村架純さんが主演女優賞を受賞。この作品が大好きだから思わず拍手。

そして助演女優賞に輝いた清原果那ちゃんがスピーチする凛として真摯な姿も、自信と感謝の心が溢れていてとても美しかった。

毎年のことながら、テレビ画面いっぱいに映し出される女優たちの姿が、この世の人とは思えないほど神々しくて、うっとり。
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そして最後に「話題賞」を受賞した菅田くんのプレゼンターとしてこの人が登場。ステージにスン…と佇んでいたのに爆笑した。

え?整くん…!「いや、銀さんが新八のためにコスプレしてるの?」って、そのサービス精神に感動した。

モード後の世界

 

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2月28日で閉店してしまったLamp Harajuku。

ここは私にとって原宿のランドマーク的存在のセレクトショップだった。駅を降り、ここに向かう道中はいつもわくわくした。

帰りはcafè de F.O.B(閉店)でフレンチトーストか、シーモアグラス(元気に営業中)でカレーを食べるのがお決まりのコースだった。

 

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チェコスロバキア時代の映画「ひなぎく」をイメージした一軒家サロンのようなLamp

甘くかわいらしい中にも毒があって、デザイナーと職人の心意気が伝わってくる洋服だけを国内外問わずセレクトし、扱っているお店だった。

 

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そしてもうひとつ。

経営はミナペルホネンとは別だが皆川明さんがデザインに関わっていて、アートディレクターを菊池敦己さんが担っていたファッションブランド、サリー・スコット。

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服こそは買わなかったけれど、シーズンごとに発表されるポスターやカタログ「ニクキュー」が好きで、必ずチェックしていた。

2002年に始まったサリー・スコットも2月でその活動に幕を閉じた。

 

ここ数年、アパレル企業が倒産したり店舗を縮小するニュースをよく目にするが、その度、悲しい気持ちになる。

装って出かける機会がぐんと減り、洋服を買ってる場合じゃない生活状況の人も多いのだから理解もできる。

ファッションが好きでたまらない私でさえ、この冬に袖を通す機会がなかった愛用のワンピースがズラッと並ぶクローゼットが目に入るとき、「これ以上、新しい洋服を買っていいものか」と少しだけ思うときがある。


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そんなモヤモヤを抱えている時に読んだ「モード後の世界」著・栗野宏文 出版・扶桑社 

とても面白かった。

ユナイテッド・アローズ創業者のひとりで現在は上級顧問、そしてクリエイティブディレクターを務めている栗野さん。

この本は社会潮流とファッションの関連性を分かりやすく解説した社会学の本と言ってもいいような骨太な内容だった。

ファッションの世界を志す若者や販売員さん必読の書ではないか?

覚えておきたい言葉だらけで付箋がいっぱい。

 

パンデミック後、ファッションはどんな方向に向かうべきなのかについても言及していて、その言葉に新しい世界が待っているように思えて勇気づけられた。

もうそろそろ、トレンドに合わせて洋服が大量に生産され、余剰分が廃棄される時代は終わるだろう。

洋服作りに従事する人間の誰もが傷つかず、無理をせず、シーズンごとに質の良いコレクションを発表し、それを適正な価格と量で売る。客は自分の個性をひきたてる一着を(二着でもそれ以上でもいいけど!)販売員と一緒に吟味して選び、それをずっと大事にする。究極の理想かもしれないけど、そんな好循環がファッション業界に戻ってくるといい。

ファッションとは人間の尊厳を表すものだと栗野さんは言う。今は、誰もが人として異なっていていいんだという価値観の時代だ。

パンデミックが終わった新しい時代には、個々がファッションをより自由に新しいスタイルで選択できるのかもしれないと思うと、楽しみでならない。

 

余命10年

 

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「余命10年」。

あまりにも直球なこのタイトルを見た時「また恋人が不治の病で死ぬ系の映画か〜」と思った。

なのになぜ観に行ったのかというと、それは映画「新聞記者」やドラマ「アバランチ」(演出)などの藤井道人さんが監督だったからだ。

そして脚本は大好きだったドラマ「泣くな、はらちゃん」「にじいろカルテ」、いま楽しみに観てるドラマ「ファイトソング」の岡田惠和さん。

あ、坂口健太郎が主役というのもポイントだった、正直に言うと。


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「余命10年」は、重い肺の病気を持つ茉莉(小松菜奈)と恋人・和人(坂口健太郎)との出会いと永遠の別れまでの10年を綴ったラブストーリー。

もし自分が20代で、好きな人がいて、10年という命の期限があったとするなら、本当に辛いことだろうな。恋人や家族との大切な一瞬一瞬をこの胸に焼き付けておきたいって思うだろう。

狂おしいほどの桜吹雪や、きらめく海辺の水しぶき。二人で歩いた銀杏並木。最初で最後のスキー旅行…

約一年をかけて撮り続けたという、スクリーンいっぱいに映し出される四季の自然の景色がとても美しかった。すべて恋する茉莉の目を通して見た光景なのだろう。

 

父(松重豊)と母(原日出子)、そして姉(黒木華)。悲しみを隠しながら茉莉を支える家族の姿にも、私も親として感情移入せざるを得なかった。

とくに感情のピークが来たのは、お母さんがキッチンで美味しそうな湯気を立ち上げながらポトフを作るシーンだった。ずっと堪えていた茉莉が初めて感情を露わにし、お母さんにすがりついて「死にたくない」と言って子どものように泣くのだ。当然、涙腺崩壊。

 

子犬のように無垢な瞳の、草食系男子を絵に描いたような和くん(坂口健太郎)。最初は自殺未遂をおこすほど腐ったプー太郎だった彼が、茉莉のおかげで少しずつ男としてたくましく成長していく様子は死にゆく彼女とは対照的で、それも悲しかった。

 

そして二人を温かく見守る居酒屋のおやじ役でリリーフランキーが出ていた。

ちょっとした邦画でちょくちょく見かけるリリーさん。居酒屋のおやじ役が似合いすぎる。

 

それにしても、今までカッコいいモデルとしてしか認識していなかった小松菜奈が、素晴らしかった。

こんなに美しく瑞々しく命の尊さを表現するとは。スクリーンでこそ輝く女優だと思った。

「糸」もいつか観てみよう。