
華やかなパーティーの余韻をまぶたの奥に残しながら、小雨が降る中急いで向かったのは新宿。
この春に関西の大学を卒業し、東京で働くために引っ越してきた姪に会いに来たのだ。

退勤後の姪と待ち合わせたのは、老舗のヴェネチア料理店
IL BACARO。
入り口は立ち飲みができるバーがあり、仕事帰りの人たちで賑わっていた。
私たちは予約しておいた奥のテーブル席へ案内された。
白い木綿のハンカチをかぶせたような美しいランプとダークブラウンでまとめたインテリアが落ち着いていて素敵。
東京の人気店に来るといつも感じることだけど、サービスは気どらず、でも丁寧という絶妙な距離感が素晴らしい。

長い一日の勤めを終えて一杯の美味しいビールに「ほうっ」とため息をついた姪。
彼女が生まれた瞬間からずっと成長を見てきた私としては「こんな日が来るなんて!」と感慨深かった。「ひとりでよく頑張ってるよ、えらいよ!どんどん食べな!」←心の声。
美しいものを選ぶ感性が鋭く、穏やかな優しい性格で努力家な姪が、この新宿という大舞台で生き生きとした花を咲かせますように。
おばとしてこれからも全力で応援したいと思っている。

さてそれから、この晩の宿がある渋谷円山町へ移動。
ホテル代が高騰していて以前泊まっていたランクのホテルにはなかなか泊まれなくなってしまったのもあり、
今回はじめてカプセルホテルにチャレンジしてみることにした。

とはいえ穴蔵みたいな普通のカプセルホテルじゃ悲しくなりそう。そこで見つけたのが「本が読めるカプセルホテル」BOOK TEA BEDの女性専用フロアだ。

天井から文庫本がぶら下がっているのがユニーク。

カプセルルームの前には自由に本が手に取れるスペースがあって、連泊したら楽しそう。
実際には部屋の照明が暗くて本が読めない状況だったのが悲しい。

圧迫感があって息苦しいかなと心配したカプセルルームはこのようにわりと広めだった。荷物を整理しづらいというのが難点くらいで、換気扇もついていたので快適だった。

共用のシャワールームやトイレは機能的で配色がおしゃれ。
朝、洗面台の前でお尻をぷりんぷりんさせながらドライヤーをかけてた褐色の肌の女の子がすごくかっこよくて、ジム・ジャームッシュの映画のワンシーンのようで見惚れちゃった。
この日同じ4階に泊まっていたカプセルメンバーは肌も髪の色もさまざまな海外の若い女の子たち。
日本人は私だけ。
シャワー上がりにいい香りをさせ歌いながら戻ってきたクリクリヘアーの子。
みんなが歩く共用スペースでトランクを乱雑に開けっぱなしにしてた子。
みんな少し行儀悪くて面白かったし、異国にいるみたいで楽しいカプセルホテル初体験だった。