風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

嘘ミ春のドラマ感想記2024

f:id:usotomishin:20240816113453j:image

春ドラマ鑑賞(春です、夏ではなくて)今期完走したのは全部で9本だった。

こうしてみるとサスペンス系が多かったなという印象。この中では法廷サスペンスの「アンチヒーロー」(TBS)が脚本が良くて一番面白かった。明墨弁護士(長谷川博己)の隠れヒーローっぷりが法廷での独特の口調も相まって魅力的だった。弟子の北村匠海の抑えた演技もさすが。

敵の伊達原検事(野村萬斎)。コロッケと肩を並べるほどの顔芸のあまりのすごさに毎回息子とげらげら笑わせてもらった。

大病院での権力闘争劇「Re:リベンジ 欲望の果てに」(フジテレビ)とサスペンスラブストーリー「Destiny」(テレ朝)は、設定にツッコミどころが多く人物描写も薄っぺらだったように思う。「リベンジ」は主役ふたり(赤楚衛二錦戸亮)の性格が一貫せずブレブレだし、カイト(赤楚)に至っては純粋に復讐に燃えていたはずの彼が途中からなぜに権力の鬼と化して闇堕ちしたのか、理解に苦しんだ。

「Believe 君にかける橋」(テレ朝)は橋の崩落事故からの監獄からのキムタク大脱走、で冒頭はド派手に始まりスケールの大きさを期待させられた。

が、謎解き部分の描写が雑だし、安手のメロドラマになってしまった後半は少し退屈だった。

地上波ドラマをいろいろ見てきて思うのは、結局悪者は結局金と権力を待つ爺さん、あるいは国家権力だったという使い古された図式がいまだに適用されているのはなぜなんだろう。

今回唯一のラブストーリー「366日」(フジテレビ)は眞栄田郷敦と広瀬アリスという好きな俳優の組み合わせだったので見始めた。

しかし恋人のどちらかが事故に遭って記憶障害になるという設定は、よっぽど丁寧に描かないと現実味がなく薄味のドラマになってしまうってことが「アンメット」(フジテレビ)と比べて証明されてしまったよ。郷敦は「エルピス」での苦悩する若手ディレクター役が新境地開拓という感じでかなり良かったけれど、こういった青春ものもまだまだ似合うので今後もお願いしたい。

そしてこんなドラマあったの?という人も多いとは思うが、安田顕小芝風花「天使の耳 交通警察の夜」(NHKがなかなか面白かった。「交通捜査課」が様々な交通事故がらみの事件を解決していくという地味めな話だったが、東野圭吾原作とあってストーリーは面白かった。

ヤスケンの演技はくどくて大好きで、もう癖になっている。


f:id:usotomishin:20240816113448j:image

「季節のない街」(テレ東)仮設住宅の小さな集落を舞台にしたクドカン脚本、山本周五郎の小説が原作の、人間の悲喜交々を描いた物語。

いつの時代も人間はおかしくて哀しくて愛しいもの。最終回では悪いやつもずるい奴もアホな奴も、登場人物みんなが愛しくて、またあの人たちに会いたいなぁって思える名作だった。

個性豊かな仮設住宅の人たちを演じた役者全員、素晴らしかった。


f:id:usotomishin:20240816113456j:image

そして「おいハンサム!!2」(フジテレビ)
パート2になってもなお冴え渡るハンサム(吉田鋼太郎)からのありがたい人生訓の数々に、テレビの前で背筋を伸ばす私だった。理想の父であり上司認定。

f:id:usotomishin:20240816113450j:image

最後に、「アンメット ある脳外科医の日記」(フジテレビ)は近年稀に見る傑作だった。

いのちを扱う医療ドラマと深い愛の物語とが、どちらも同じように大切に描かれていた。

役者全員のキャラクターが魅力的。とにかく根底に流れているのは「愛」なのですよ…カメラワークも色も音楽も映画のように大切に作られていた。

多くの人に「アンメット」が支持されたのは、ミヤビ(杉咲花)や三瓶先生(若葉竜也)の関係性や心に残る台詞の数々にときめいたというのもあるけど(あそこまで愛されるミヤビが羨ましい)、ユートピアですか?と言いたくなるほどの医局の人間たちの互いを思いやる優しい世界が心地よかったからなのではないかと思う。現実にはあんな職場なかなか無いのでは。


f:id:usotomishin:20240816113445j:image

どうしても見たいものがある時だけ契約するサブスク動画配信サイト。この夏はオリジナルドラマ「地面師たち」を観たいがためにNetflixに加入した。

実際に起きた不動産詐欺事件を主題にしたドラマだ。個性豊かな《チーム地面師》がいかにして大手不動産会社を騙し巨額の富を得ていくのか、単純に興味深く面白かった。
騙す方、騙される方、警察。キャスト全員の見せ場を丁寧に描きつつ石野卓球の音楽含め見せ方にエンタメ性もあり。
ラストに向かうほどに過熱していくハリソン山中(豊川悦司)のサイコパスな怖さに震撼。

そして個人的にはピエール瀧が映像の世界に戻ってきてくれて嬉しかった。

大根仁監督の撮るサイコミステリーはただ怖いだけでなくどこか乾いたユーモアもあって不思議な世界にはまった一週間だった。(全7話)

家族みんなでではなく、このドラマは夜中に一人でこっそりといけないものを覗き見するかのように観るのが正しいと思う。


f:id:usotomishin:20240816113458j:image

せっかくNetflixに加入したのだから、見たかったオリジナルドラマや映画を毎晩楽しんでいる。

ドラマ「初恋 First Love」は中学時代に出会ったふたりの思いが時を超える壮大な愛の物語だった。音楽と映像の美しさが心に残る。どのシーンを見ても北海道中の観光地や札幌のよく知った風景が出てきて、こんなにも幻想的で魅力的な場所なんだと再確認も。

満島ひかりの表情の豊かさやキュートな仕草にすっかり魅了されて、引き続きNetflixで彼女の出演作品を立て続けに鑑賞中。

 

いやー、ドラマについて書き出すと止まらない!

地面師の後藤(ピエール瀧)に「もうええでしょう?」と言われないうちにこの辺で終わりとします。