風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

2024年冬〜春《嘘ミ的ドラマ批評》

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ゆっくり書く時間がとれず、去年から2クール分の感想記を書いていなかったのですが、変わらずドラマ鑑賞は続けています。

2024年明けてすぐスタートした冬のドラマ、今回最後まで観れたのは5本でした。

 

「君が心をくれたから」(フジテレビ)

恋人・太陽(山田裕貴)の命を救うために、自分の五感を差し出すという条件を受け入れ、死神と契約を結んだ雨(永野芽郁)。

五感って、味覚、嗅覚、触覚、聴覚、視覚ぜんぶですよ…それを百歩譲ってかわいいわが子にというならまだ分かるけど「好きな人」に?あまりに悪条件だし自己犠牲が過ぎませんか?と思ったけど、互いを思いやる純粋さに説得力を感じさせる主演のふたりの見た目の美しさに惹きつけられ、結果最後まで見てしまいました。

ピュアな驚きを感じながらこの物語を受け入れることが出来る人たちは、毎回この切ないラブストーリーに泣かされていたのだろうなぁ。

私はだいぶ汚れちまったので泣けなかったけれど、このドラマの後に山田裕貴くんが結婚を発表した時には、ちょっぴり泣きました。


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「春になったら」(カンテレ)

ノリさんが末期がんに冒されて余命3ヶ月のパパ役で、結婚が近い娘・瞳とふたり暮らしをしているという設定に、悲しい結末になることは分かっていながら見始めたこのドラマ。

娘の結婚式と父の生前式を一緒に執り行って親しい人たちとその時を愉しむ、といういい意味で予想を裏切られる晴れやかなラストでした。

喜びと哀しみ、生と死はいつも隣り合わせ。最近そのことを実感として感じる年齢にもなってきたこともあり、染み入る台詞がたくさんありました。

毎回どこかにオレンジ色をポイントに入れてくる色づかいが特徴的な映像が美しく、朗らかでおしゃれなノリパパに毎回ほろっとさせられるドラマでした。


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「お別れホスピタル」(NHK

緩和病棟を舞台に、医師、看護師、患者と家族の抱える問題や心の動きをあらゆる角度から丁寧に描いた素晴らしいドラマでした。

だいぶ前に放送し数々のドラマ賞も獲っている「透明なゆりかご」と同じく安達奈緒子さんの脚本(原作は漫画・沖田×華作)がやっぱり良いのです。演者も岸井ゆきの(演技が好き!)松山ケンイチ(いつも何かやってくれるだろう期待大)小野花梨(毎回癖のある役がハマってる!)。それに古田新太泉ピン子、きたろう、木野花筒井真理子とベテラン揃い。毎度引き込まれてあっという間の一時間でした。

終末期医療の現場は毎日過酷な出来事の連続で。そこで働く医療従事者の人たちが、人が亡くなっていくとき最後に過ごす場所として少しでも快適であるよう、寄り添い日々悩み努力をされていることがドラマを通して伝わってきました。

私の叔父がいたホスピスの看護師さんやお医者さんはみなさん本当に最期まで優しい対応をしてくれて天使のように見えたし、思い出すと本当に今でも胸がきゅっとなります。

余談ですが、このドラマは息子と一緒に観ていました。彼は泉ピン子の演技をまともに見たのは初めてだったらしく「こんなにガチで演技できるの、知らんかった」と。「渡鬼」の三角巾つけて騒いでるおばちゃん役か、バラエティでシャネル着て若い子にイヤミを言っているギラギラした姿しか見たことがなかった彼には驚きだったのでしょう。


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「グレイトギフト」(テレビ朝日

「マイファミリー」「東京MER」など過去に好きだったドラマを手がけた黒岩勉さんのオリジナル脚本。殺人球菌グレイトギフトを使った大病院で巻き起こる殺人事件を「ノンストップサバイバル医療ミステリー」と銘打って。役者も豪華だし期待していました。

互いに疑心暗鬼だった医師や医局員たちが中盤でアベンジャーズのように集結するシーンがあったのですが、「お、ここから全員でいよいよ日本の闇を暴くのか?」と期待させておいて肩透かしを食らったり。

ずっと追ってきて「結局真犯人はあんたかーい!」。しょぼかったなーという感想です。

奥さんに不倫され年頃の娘にも嫌われ、見た目も覇気がなくうだつの上がらない病理研究医役を、あのカッコいい「イケオジの反町」が演るっていうのは斬新でおもしろかったのですが。

「どうせ後半は巻き返してかっこいい反町を見せてくれるんでしょうね?」と思って見ていたけどそれ程でもなくて、そこもなんだかスッキリしなかったです。

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今期一番おもしろかったのはやっぱり

「不適切にもほどがある!」(TBS)でしょうか。

宮藤官九郎×阿部定サダヲで面白くない訳がないのですが、くだらない小ネタが満載で笑えて、最後はほろ苦くてちょっと泣けて、実は壮大な話だったんだと気づかされる。そんなクドカンの世界を息子と一緒に楽しみました。

私にとっては懐かしく忌々しく、息子にとっては新鮮で笑える「昭和」の時代。

「令和」の時代との違いを一緒になって感想を言い合いながら見るという、ある意味一番正しい鑑賞方法だったのではないでしょうか。

体を張って真面目に馬鹿をやったムッチ先輩(磯村勇斗)に助演男優賞を差し上げます。

毎回のミュージカルシーンも最高でしたが、特に古田新太and錦戸亮の「#Daddy's suit 」が大好きでした。

そしてタイムマシンが本当にあるのなら、昭和に戻って喫茶「すきゃんだる」でナポリタン食べてみたーい!