風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

鳥獣戯画 京都高山寺展

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甲・乙・丙・丁の4巻、全長44m以上に及ぶ長い長い絵巻物、国宝・鳥獣戯画。それと一緒に高山寺開祖・明恵上人にまつわる文化財を120点近く見ることができる展覧会が、北海道近代美術館で始まった。

3年前のコロナ禍に同展覧会が東京国立博物館で開かれたが、その時は行けなかった。京都栂尾の古刹・高山寺鳥獣戯画が伝わった場所であり、このお寺には何度か行っているが、本物は展示されていない。

そんな憧れの鳥獣戯画をいつか全巻この目で見てみたいと願い続けていたところにこの夏、ついにチャンスが到来したのだ。

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札幌では作品保護と混雑を避ける意味で全巻を3期に分け、7月から9月までという長い期間を設けて展示がされる。

全巻通して鑑賞できるお得なセット券を事前に購入し、まずは「甲」の巻を見に、美術館に行ってきた。

 

はじめてこの目でみた鳥獣戯画の甲巻(前半部分)は、丁寧に補修されているとはいえ、とても平安鎌倉時代のものとは思えないきれいな状態だった。長いこと国宝として大切に保管されてきた原画だと思うと感慨深かった。

私の目を通してみた鳥獣戯画「甲・前半」の印象はざっとこんな風だ。

 

⚫︎なんて伸びやかな線でウサギとサルが描かれているんだろう!谷川で水遊びをする彼らからきゃっきゃっと楽しげな声が聞こえてくるようだ。

⚫︎墨一色で描いているのに川が流れているように見える!

⚫︎続いて登場したカエルとキツネ。大きな蓮の葉を的にして、賭弓(のりゆみ)が始まった!

ウサギチームとカエルチームに分かれて大騒ぎしているけど、結局どっちが勝ったのかな。
⚫︎ひとしきり遊んだら今度は今宵の宴の準備をするのね。みんな仲良くお酒や食べ物を肩に担いで運んでいるのがかわいい!

 

もうこの冒頭部分を見ただけで私は「鳥獣戯画ってやっぱり楽しい〜」と嬉しくなった。
絵がすごく上手で動物たちが生き生きとして見えるので勝手にアフレコできるし、まるで漫画を読んでいるような楽しい気分になれるのだ。

 

平安〜鎌倉時代にかけて書き足されてきた鳥獣戯画は謎も多い。
当然ながら作者もタッチも少しずつ変化していて、そういうところも興味深い。

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謎の部分を解明していきたいなと思い、今回の展覧会に合わせて「謎解き鳥獣戯画とんぼの本(新潮社)という面白そうな本を買った。

展覧会で絵を見終わるたびその絵について書かれた箇所を少しずつ読みすすめ、知識を深めていくのを楽しみにしたい。

 

800年もの間、書き続けられて大切に保管されてきたこの絵巻物を、現代のわたしたちが観ることができるって素晴らしい。

そして当時の人たちと同じように絵を見てクスクス笑ったり、動物たちの動きがかわいいと思ったりするってことに、ロマンを感じる。

土日は入場までに2時間以上待つほど既に大人気の展覧会。なるべく空いている日時を狙って計画的に美術館に通おうと思う。