すでに今年の春のドラマをどっぷり楽しんでいる今日この頃ではありますが、長らく放置していた「2023冬・嘘ミ的ドラマ評まとめ」を書きたいと思います!
まずは世の中で一番話題に上がっていた、生まれ変わりドラマ《ブラッシュアップライフ》(日本テレビ)。
輪廻転生は「前世からの課題をクリアすべく全く違う人間に生まれ変わること」と認識していたけれど、「ブラッシュアップライフ」の世界では何度死んでも「自分」に生まれ変わることができる。
その設定そのものが目新しいし、前世での失敗を回避し努力を重ねることでどんどん人生がブラッシュアップされていくのはちょっと羨ましかった。
でも何度も出生〜幼少期を繰り返さなくちゃいけないのはものすごく面倒だな。今世は今世で終わりにしたいから自分にまた生まれ変わりたいとは思わない。ぷくぷくでかわいかった小さな頃の息子にまた会いたいという気持ちはあるけど。
そして、主人公・麻美(安藤サクラ)は人生を何周もするうちに「自分にとって一番大切なものは何なのか」に気づくのだけど、それは小学校時代からの3人の女友だちとの関係性と、ふるさとの町なのであった。
最終回では4人が高級そうな特別養護老人ホームで笑い合う姿と、電線に仲良く並ぶ4羽の鳩が映し出されて終わる。
老後は仲良しの女友だちと助け合いながら気ままに暮らせたら、と私も思ったことはある。だって女友だちって最高だもの。優しくて頼りになって愛嬌があって、さっぱりしてて。(男よりずっと楽!)
しかし、なかなかそうはいかないのが現実だ。夫や家族がいたり病気していたり、懐状況も違う。それぞれの立場が違うとまず成立しないことだから。だからこそ、バカリズムが描いた風変わりで夢のような友情物語はたくさんの女性たちの心に響いたんだと思う。
自分の世代ではなかったので共感しきれた訳でないが、今の30才代の人たちの青春時代に流行った音楽やカルチャーをうまく織り交ぜつつ描いていた点も面白かった。
《罠の戦争》(カンテレ)。
息子を瀕死の重体に追いやった事件の犯人と、それを隠蔽しようとする国会議員への復讐に燃える議員秘書・鷲津(草彅剛)。彼が家族と党を守るために「罠」を仕掛け合う政界の闇を描く物語。
「罠」ってほどのスリリングな罠ではなくて割と分かりやすい脚本で後半は少し退屈したが、草彅くんは作品によって全く違う人物になってしまうところがすごい。あとゴシップ誌の記者役をやっていた宮沢エマも最近好きな女優さんのひとり。
恋愛ドラマ2本。
私の好きな大石静さんが脚本の《星降る夜に》(テレビ朝日)は美しいラブストーリーで、毎回幸せな気持ちにさせてもらった。
登場人物全員に対して愛情を注ぎ、それぞれが抱えている問題を細部まで丁寧に書くのが大石さんなので、安心して見ていられた。
産婦人科の女医・すず(吉高由里子)と遺品整理人の一星(北村匠海)。年の離れたカップルの微笑ましく可愛らしい恋物語。
一星は耳が聞こえないのだけど、よくある悲恋ものとは違ってそれをプラスにして逞しく生きている。そんな男の子を生き生きと表現する北村匠海になんども胸がきゅんとなった。
最近、気軽にジェンダー問題や障がい者の問題を突っ込んでくるくせに表層的にしか書けないドラマが多い中、大石さんの脚本だとこうも違うものかと。
もう一本の恋愛ドラマが北川悦吏子脚本の《夕暮れに、手をつなぐ》(TBS)。
もうこれは、あれだ。主演が永瀬廉と広瀬すずというだけで勝ち〜なドラマだった。
相変わらず突拍子もない設定や台詞を入れてくる雰囲気先行の脚本に毎回イライラさせられたけど、我慢して見続けた。ビジュアル整い過ぎな2人が画面にいるだけで、とにかく映像が美しかったので。
最後の2本はどちらも「幽霊」が出てくる話。
《100万回言えばよかった》(TBS)。
何者かに殺された直木(佐藤健)が恋人・ゆい(井上真央)の元に幽霊になって現れる。事件を捜査する刑事・魚住(松山ケンイチ)には直木の姿が見えるため、ふたりの仲を取り持つ。そんな不思議な三角関係を築きながら事件の真相が明らかになるときに、直木とゆいに本当の別れがやってくる…というラブストーリーにサスペンスの要素を盛り込んだドラマ。
豪華なキャストに惹かれ見始めたが、スピリチュアルに殺人事件、臓器移植に少女買春、いろいろ盛り込み過ぎて話がとっ散らかり、肝心のラブの部分は展開がのろすぎて眠くなった。最終回だけなぜかファンタジー味たっぷりで、佐藤健があのとろける声で「愛してる」を連発したのでファンは堪らなかっただろう。
そして殺人犯は最初から怪しいと思っていたのだが、直木がシェフとして働いていた洋食屋のオーナー(荒川良々)だった。それがあまりにもお粗末な設定で良々の無駄遣いだと思った。
《6秒間の軌跡》(テレビ朝日)
山梨で代々受け継がれる花火店を舞台に、父・航(橋爪功)の急逝で一人取り残された息子星太郎(高橋一生)が途方に暮れてしまうが、死んだはずの航が現れ、不思議な日常が展開される…というホームドラマ。
橋爪功の飄々とした親父役はもちろん良かったし、もうすっかりいい年だがいろいろ拗らせてる星太郎(高橋一生)との遠慮のない会話や喧嘩が漫才のようで面白かった。それと弟子希望で突然住み込みで押しかけてきたヒカリ(本田翼)。彼女がまたすごくぶっきらぼうでいつも目が座ってて呑兵衛で。言いたいことはズバッと言う気持ちのいい女で好きなキャラだった。最終回はほろりとさせられて…全体にゆったりと流れる空気感も好きだった。
そしてあらためて、花火師だろうが露伴先生だろうが何を演じても「高橋一生は良い」と思ったのだった。彼が笑った時の、目尻と口元の皺を愛してる♡あと声も♡
以上、長くなりましたが冬のドラマ雑記、やっとやっと書き終わりました。
読んでくださってありがとうございました。