細田守監督の新作映画『竜とそばかすの姫』を
ムビ友(息子)と一緒にレイトショーで観てきた。
ひとりで夜に映画を観に行くのは別に怖くはないけど、
息子がいれば屈強なボディーガードを連れている気分だ。
この映画、映画館で予告編を見た時から好きな予感はしていたけれど、すごく良かった!
アカウント登録者50億人というインターネット上の仮想空間『U』の中で
その美しい歌声で人々を夢中にさせる、歌姫ベル。
CGでつくりこまれた宇宙のような未来のような『U』の世界が映画冒頭からいきなり広がって、そのスケールの大きさと迫力に一気に引き込まれた。
Uの世界で、大きな鯨の鼻先に立って花びらを撒き散らしながら歌うベルのビジュアルがとびきり魅力的だ。
ディズニーの「ラプンツェル」や「アナ雪」のキャラクターデザインをしたJin Kimが担当したという。
納得のかわいさだ。
ベル役の声優を兼ねている中村佳穂というボーカリストの圧倒的な歌唱力と楽曲(millennium parade )の素晴らしさ、これがこの映画最大の魅力だと思う。
まるで自分も『U』の空間にいて、ふわふわ浮きながらベルの歌声を聴いているかのような気分…
この浮遊感はそうだ、例えるならドームツアーのPerfumeのライブに似ている。
で、ストーリーはというと、ラストに少しご都合主義的な展開もあるので100%満足とは言い難い。それに肝心の「竜とそばかすの姫」の接点について話せばネタバレにもなるから、詳しくも書けずむず痒い。
ただ、現実世界での「ベル」のオリジン(=現実界での素顔)である女子高生「すず」が、
『U』の世界で出会った「竜」を助けることで心のトラウマから解き放たれ、前を向いて生きていけるようになるところは良かったし、どうしても母親目線で見てしまう私は、泣けた。
「おおかみ子どもの雨と雪」や「バケモノの子」の時にも思ったが、細田守さんは人の心の痛みに寄り添う母性のようなものを持つ人なのだと感じる。
この監督の映画には、毎回どうにも細胞レベルでボロ泣きしてしまう場面が出てくるのだ。
とにかく、仮想空間『U』の描写やベルの歌唱シーン、ここだけでも体感すべき映画だと思う。
自宅のテレビやDVDで見ていてはダメ。映画館で見なければ損をする。
私はもう一度観に行きたいと思っていて、次は贅沢にIMAXで鑑賞するつもりだ。