風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

ピエロクラッチを持ってサーカスに

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夏の終わりにサーカスを観に行った。

サーカスの世界が好きで、サーカスがモチーフの絵本を数冊持っているし、サーカス一座が出てくる映画にも好きな作品がいくつも浮かんでくる。

昔からサーカスに惹かれるのは、煌びやかさの中にどこか物悲しさが感じられるからなのもしれない。

6年ぶりに札幌にやってきた「木下大サーカス」!

なんだろう!入り口の、このいきなりの激しさ。お祭りに突如現れる昔懐かしい「見世物小屋」的な怪しさもある。こども時代にタイムスリップしたかと思った。


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想像上のサーカス一座のことを思うと浮かんでくるのは、沢山の団員や動物たちが何台にも連なるトラックや幌馬車に乗って一緒に旅をする光景だ。開催地に着いたら何ヶ月も停泊するから、みんなで炊事して同じ食べ物を食べて、洗濯して。時には団員同士で恋愛して家族になったり。木下大サーカスの団員さんたちもそうなのかな?大量に必要な動物の餌はどこで調達してるのだろう。お風呂はどうしてるの?ときにはスーパー銭湯に行ったりする?

赤いテントを見ていたら、知りたいことが山ほど湧いてきた。
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テントの中に入るまでの道にお土産屋さんが並んでいた。ホワイトライオンのぬいぐるみがヘッポコなのに射抜かれて、「買っちゃおうかな?」となったが「いやいやいや」。思いとどまる。


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いまライブや演劇のチケット料金はめちゃくちゃ値上がりしている。1万円以上するのもある。しかし木下大サーカスの観覧料ははっきり言って、安い。予約する時に少し驚いた。だから今回は張り切って一番高くて一番見えるリングサイドの一番前の席を予約した。席に着いて「やったー!」と思わず声が出た。視界を遮るものが何ひとつ無かったから。
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わくわくのオープニング。大きすぎる靴を履いた太っちょピエロとやせっぽちで背高のっぽのピエロがテトテト…とコミカルな歩き方で登場した。

(ピエロさんはふたりとも外国人)私は赤い水玉のフェルトをちりばめたサーカスをイメージした帽子をかぶっていったのだが、そんな私の目の前に太っちょピエロさんがやってきた。そしてうやうやしく礼をし、私の手を取りKiss!してくれたのだ。日本の男性はなかなかしてくれない「レディー扱い」だ。そしてピエロさんは次に隣に座っていた夫のほっぺたを両手でガシッと掴み、激しく揺さぶったあと、おでこに熱烈なチューをしたのだ。完全にオチに使われた夫。

演目は途中休憩を挟んで前後10タイトルほど並ぶ豪華な内容だった。

ロシアン空中アクロバットショー、スーパーイリュージョン。

空中ブランコ空中ブランコ大車輪。

祭りでおなじみの世紀のオートバイショー。

(3台のオートバイが閉鎖された球体空間で飛び交う様子は、気が狂ったミツバチのようだった。

ぶつかれば即大怪我か死。ほんとうに凄いテクニックだと思う!)

そして5頭のライオンと2頭の象によるショー。

どうして猛獣が言うこと聞くの?実はぬいぐるみなのでは無いだろうかと思うほどお利口さんだった。

かわいいロバたちがくるくる廻るショーも見せてもらった。もう胸いっぱいのお腹いっぱい。

動物も人間もみんな身を削って渾身の演技をしてくれるのだ。

とくに、鍛え上げた人間の筋肉の動きの美しさや指先までピシッと気が通った気迫を、目の前で連続して見せてくれて、感動した。ありがとう。

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サーカスにはサーカスをイメージしたコーディネートで。

私は着ていく洋服を選ぶ時に時々、イベントの内容やその日会う人に合わせた「勝手にドレスコード」を発動させる。

この日のために、ずっと大切にとっておいたヴィンテージのピエロ生地で作成した「ピエロクラッチ」を片手に。

木下大サーカスの一団は10月まで札幌でロングラン公演中だ。夢のようなめくるめく時間だった。もう一回観に行っちゃおうかな。またあのわくわくを感じたいな、なんて思っている。