風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

青森・りんごの旅②「酸ヶ湯温泉」

 

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青森県立美術館からは宿泊地に向かって八甲田〜十和田ゴールドラインと呼ばれる山道を1時間ほどかけて走った。

事前調べにより、ヘアピンカーブと絶景が続く道だと知っていたので、宿には日が落ちる前に着く予定で美術館を出発。途中、山の向こうに陽が落ち始める場面に遭遇したので、あまりのきれいさに車を停めて休憩。

 

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標高900mの高地に建つ「酸ヶ湯温泉」に到着。

増築や補修を繰り返してきてはいるが、江戸時代から続く温泉宿が放つオーラのようなものにワクワクぞわぞわした。

青森にはたくさんの名湯があるが、300年間湯治場として名高いこの酸ヶ湯になぜ惹かれたのか。あとから母に聞かされてちょっと驚いたことがあった。

酸ヶ湯温泉はリウマチを患っていた秋田の曽祖母が、湯治のために毎年長期間訪れていた場所だというのだ。知らずに引き寄せられたということか。


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同じ敷地内に設備が整った高級な洋室や和室もあったが、あえて私は歴史ある湯治棟の部屋を予約していた。

昭和の貧乏学生が住む〇〇荘のような薄いドア、部屋にいるとすぐそばを通る人の声や足音が丸聞こえなのもいい感じ。布団は自分で敷くし、トイレ、洗面所は共同。

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部屋は正直もっと「独房」みたいな雰囲気を想像していたが思ったより広かったし、カビ臭い以外は快適だった。
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宿の人によると階段は昔のままの物を使っていて、特に主柱のデザインに職人のセンスを感じた。
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長期滞在でガチの湯治をする人用の、炊事場。「冷やし槽」という飲み物の瓶や果物を冷やしておく場所があるのを初めてみた。

 

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お腹が空いているのと部屋の明かりが暗めで本も読みづらいほどだったので、早めに夕飯にしようと湯治棟宿泊者専用の食堂に行き、ひとりの宴を始めることにした。

もっと精進料理みたいなのを想像していたが、肉らしいものとして生ハムがあったしエビとイカのお刺身もついていた。

青森で20軒のお店しか扱っていないという青森エールという美味しいビールを飲みながら、いただいた。

私の斜め前に座っていたやはり一人客のおじさんが、ビール、焼酎、日本酒を次々飲みながら、きのこ汁を4杯もおかわりしていた。何種類もの歯応えの違う地元のきのこがたっぷり入っていて、たしかに美味しかったけど4杯とはね。

「きのこ大好きなんだね、良かったね」と心の中でおじさんに言ってあげた。

 

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(お風呂は撮影禁止なのでホームページより借用しています)

さて夕飯の後は最大の楽しみだったヒバ千人風呂へ。

ここは4つの源泉があり、本当に1000人入れてしまいそうなほどの広さ。天井に鍵を一本も使わず、柱もない総ヒバ作りいうことに驚く。職人の技がここにも光っていた。

そしてお湯に入ると雷に打たれたかのように全身がビリビリした。やばい、これは他とは違う。霊泉だ…八百万の神も、きっと千と千尋のオクサレ様も、そして曽祖母もあの世から入りにきてるに違いない。

そんな霊気を感じる凄いお湯だった。舐めると酸っぱく錆のような味がして、目に入ると開けられないくらい痛いのだ。強酸性湯、おそるべし。これは万病に効くのも確かだ。

たくさんのおばあちゃん達に囲まれながら、嬉しくてニヤニヤしながら入った。お湯の温度も私好みで、高めの43度。

すっかり身体が温まり、軽くなってもうひとつの温泉「玉の湯」へ。こちらは「ヒバ千人風呂」とは源泉は異なるが、同じ白濁した酸性の硫黄泉だった。酸っぱくて熱くて痺れるお湯がすっかり気に入って、朝早く起きてもう一度入った。

風呂上がりの朝ごはんがより美味しく感じられてごはんが止まらなかった。白米「つがるロマン」としょっぱめな大根の漬物の組み合わせ。

二膳目をおかわりしに立った時に「このお米すごく美味しいですね!」と配膳係のおばあちゃんに話しかけると「ここは水もうまいがらねぇ」とにっこり。


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今回の旅行、1日目は青森のりんごに合わせて赤いワンピースを着た。それにミナ×ケイスケカンダのtambourineジャージを羽織って。

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旅館を出て、次に向かうは十和田方面。

青森のFMラジオと鳥のさえずりを聴きながら、谷池温泉、蔦温泉と名湯が続く緑のゴールドラインを駆け抜ける気分は最高だった!