先日、夫に新しいネクタイを買おうと百貨店のネクタイコーナーへ。
すぐさま年配の女性店員がぴったり張り付いてきて「今これが東京で流行っている」と3万円もするものを勧めてきた。
東京で人気といえば飛びつく人はそんなに多いのか?
趣味を押し付けられるのが心底嫌なので「流行っているのだとしたら余計に欲しくないです」ときっぱり言ってみた。そしたらその後はめちゃくちゃ感じが悪くなった。
クマがついていてかわいいと思い手にしたものを「60歳以上のおじいさんが買うようなブランドです」と言ったり「ある程度の年齢になったらこれくらいのものをつけないと」とまた高いのを持ってきたり。独自の観点からの失礼発言を次々お見舞いしてきて、もう笑っちゃうくらいだった。
売る気ないでしょ!

買い物は楽しい気持ちでするのがモットーなので「全然ピンと来ないので今日はやめておきます」とお断りして、違うお店へ行くことにした。
ネクタイコーナーはそう広くはないが、色・柄、素材、ブランド別にきれいにコンパクトに並べられていて、見やすかった。
一捻りあるカジュアルネクタイファッションで決めた男性店員さんが微笑みながらそばに来てくれた。
「どんな方に贈られるのですか?」
そうだよ、そうそう。まずは好みを聞いてくれるものだよね!
そこからのひと時はとても楽しいものだった。
「夫に似合いそうな色で、少し遊び心もあり、かつまだ持っていないタイプのネクタイを」という私の希望にぴったりの一本に絞るまで、何本ものネクタイをさまざまなシャツやスーツに合わせ、着こなしの例をいくつも提案してくれたのだ。
その間、押し売りや謎の商品否定も一切なし。
シャツやスーツを替えるだけで一本のネクタイの印象がこんなにも違ってくるものかと、販売員さんの引き出しの多さにわくわくした。
思えば、このお店にはときどき夫や息子の服を買いに足を運ぶのだが、今まで嫌な気持ちになったことは一度もなかったな。
販売員さんたちは皆それぞれ個性的なお洒落さんだけど、体育会系のさっぱりとした空気を出してる男の子が多くて話しやすいのも良い。
お店での買い物はその道のプロの販売員に付いてもらって、楽しくしたいもの。たとえ自分の物でなくても納得がいく商品を手に入れた帰り道は、心も弾む。
長々と書き連ねてしまったが、最初からBEAMSに行けば良かったよねという、そういう話だ。