風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

雪の日の卒業式

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こんな小さな頃からずっと嘘とミシンのモデルをしてくれていた姪が、今日高校を卒業した。

おしゃれが大好きで、私と好きなものが似ている彼女はモデルを頼むといつも「いいよー」と快く引き受けてくれ、天気の良い日にはよく公園や山で撮影をさせてもらった。

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この「名前ちゃん三角ポーチ」は初期の頃に生まれた作品で、今も作り続けている大事なもの。

この日着てきてくれた星柄のスカートとピンクのサンダルに三角ポーチの組み合わせがとてもかわいらしくて、何枚もシャッターを切ったのを思い出す。


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手足がすらっと長く洋服が映えるお人形体型の姪と大切な作品を一緒に撮るのは、叔母としても毎回心が踊る時間だった。

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中学生になると部活や勉強で忙しくなり、土日に妹宅にお邪魔してベランダで撮影させてもらうことが多くなった。

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「あの時のあれ、すぐ売れたんだよ〜!」報告すると「わ!ほんと!良かった。」といつも喜んでくれた姪。

この頃、うちの中では常にムスッと反抗期だった息子の態度に手を焼いていたので、いつまでも変わらない素直で朗らかな姪に会うと和んだものだった。


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高校生になって彼女はますます忙しくなったけれど、たまたま時間が合った休日に海まで連れて行って撮影したのも良い思い出だ。

「海に来たの久しぶり〜」と目をつぶって深呼吸しリフレッシュしてくれていたのが、何だかこちらも嬉しかった。


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姪は4月から大学生になる。

努力家で成績優秀な彼女は、もういくつかの大学の合格通知を手にしている。しかしまだ本命の受験結果が出ていないため、正式にはどの大学に進むかは決まっていない。

そしてどこになっても本州の大学なので、北海道を離れることになる。

 

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そんな彼女の卒業式のために、今回世界にひとつのスペシャルなヘッドアクセサリーを作らせてもらった。


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テーマはPoupeé(プペ=お人形)。

式に着るDOUBLE MAISONの黒いプペコートドレスに合わせて、純白のヘッドドレスにした。

 

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形は頭にちょこんと乗るトークハットタイプ。ベースにウエディング用の薔薇の花があしらわれた高級オーガンジーを貼った。目深にかぶると瞼に水玉のチュールがかかり、高貴な雰囲気になる。

てっぺんにたっぷり盛ったフェザーやシルクのリボンが、歩くたびにふわふわ揺れる。

その様子はきっとドールっぽさ満点だ。

 

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裏側には思い出の生地を使った。

18年前、姪を妊娠していた妹のためにと私が作った「らくらくパジャマパンツ」の生地の端切れだ。

母娘ふたりを繋ぐ特別なヘッドドレスになったのではないかな。

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DOUBLE MAISONは私が10代の頃から尊敬するスタイリスト、大森伃佑子さんがプロデュースするブランド。

たくさん並んだボタンやふわんと膨らんだ袖、フリルの襟やキュツと締まったウエストなど、オリーブ少女が大好きなディティールがぎっしり詰まったドレスが多い。

けど隅々まで質が良く、おばあちゃんになっても着られる普遍的なデザインなのが、さすが名スタイリストの仕事だと感じさせられる。


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花びらのように大きな雪が舞い散る中、卒業式を終えた姪が晴れ姿を見せに来てくれた。

白いヘッドドレス、透き通るような肌、黒いプペコートドレス。そのコントラストが思ったとおりとても相性が良く、叔母の贔屓目フィルターを通さずとも式でNo. 1に輝いていたのではないかと思う。

(あ、でもこの発言はやっぱり叔母バカだな)

 

4月から遠くに行ってしまうのは寂しいけど、それよりも姪の旅立ちを応援する気持ちの方が大きい。

今までのように気軽に作品モデルをしてもらうことは難しくなるけれど、私がそちらに出向いていけば良いことだ。

新しい土地で自分のやりたかった学問に楽しく取り組み、友だちに恵まれ、何より心身ともに健康でありますように。

そんな願いをいっぱい込めて。

 

ふうちゃん、卒業おめでとう。