この映画のポスターを見たとき、一瞬ギョッとした。
すらっと伸びた美しい脚。もう片方は骨になってる!
M・ナイト・シャマラン監督の「オールド」。
一見通好みの映画に思えるが「シックス・センス」で大ヒットを飛ばした監督の作品だ。
舞台は南の島のプライベートビーチ。
ここは異常なスピードで時間が流れ、訪れた人たちは急速に年老いていく。何せ、1時間で2年、1日で48年が過ぎるという時間の速さだ。
老人は到着してほどなく亡くなり、小さな子どもたちは夜になる頃、思春期を迎え(しかも妊娠し!)
朝には中年になってしまうなどの怪現象が次々と起こる。
誰もが錯乱し、泳いだり崖を登ったりしてこの島を脱出しようと試みるが、そうすると失神して死んでしまう。
たった4人だけになった一家が、さぁ、どうやって脱出するのか。
この島に隠された大きな秘密は??
と、なかなかスリリングなお話で映像も結構怖くて面白かったのだが、この島の時間を狂わせているそもそもの原因がふんわりとしか説明されず、ムズムズした。(そこは監督にとって重要ではなかったのだろう。)
そして、役者たち。
お久しぶりのガエル・ガルシア・ベルナル(写真・右から2番目。すっかりおじさんになっていた)や かわいいトーマシン・マッケンジー(右から3番目。顔が好み)など主役のキャパ一家のメンバーにはメジャーな役者もいるのだが、それ以外はあまり見たことがない役者ばかりだった。
統合失調病を抱える男性医師。この島で心が壊れ、殺人鬼になってしまう。
また、美と若さに執着するあまり頭がおかしくなり、最後は洞窟で骨がぐちゃぐちゃになって死んでしまうモデルの女性など。
かなりクセの強い人間たちをB級感漂う役者たちが演じたことにより、よりその怖さや狂気が表現されていたように思う。
見終わってしばらく経って、ふと思った。
あらためて「時間」について考えてみると、大人にとっての2〜3年と子どもにとってのそれは、環境や心身の変化において大きく違う。
何度も自宅でのオンライン授業を余儀なくされ、
修学旅行や運動会もろくに経験できずに卒業しなければならないうちの高校生。
この島で「時間の迷宮」に閉じ込められた人たちの姿と、
大切な思春期に貴重な時間がただ過ぎていくように思える今の子どもたちの姿が、少しだけだぶって見えた。
この映画はコロナ禍に撮影された作品だという。
だからなのか。この映画にイヤ〜な閉塞感のようなものがぎっしり詰まっていて、「あー早くここから脱出したい!」と思わされたのは。