先日観た映画「BABYLON」。
賛否両論あるが私は嫌うことはできなかったな。
冒頭の豪華絢爛・狂乱の宴のシーンをぶったぎって「BABYLON」のタイトルバックがどーんと出るところまでは「ラ・ラ・ランド」を上回るインパクトがあった。ここまでは観客に思考する隙を一切与えない。映画館でこそ見なければ魅力が半減する名シーンだと思った。
舞台は1920年代狂騒のハリウッド。時代のうねり。パワーとスピードと光の渦と。金と酒とドラッグと。栄枯盛衰。ハリウッド映画史の中に迷い込んだかのような臨場感。わたしは3時間ちょっとの間、夢を見てたのかな?
ギラギラこってりドロドロとした夢と欲望にまみれ、生き急ぐかのように製作に身を投じる映画人たち。でもそのパワーがなければ映画なんて生まれなかったよね。
「え?ニューシネマパラダイス?」なラストは少し唐突な感があった。破茶滅茶やってきたけど最後は真面目か?みたいな。監督の映画への偏愛っぷりだけは充分伝わってきたけれど。
映画は世界共通言語。いま映画に心揺さぶられている私がいる。そしてまた、その映画は時空を超えて未来の見知らぬ誰かにも届くということにあらためて気づいた時、映画の持つ力の尊さにじわっと胸が熱くなった。
なんといっても夢見る女優ネリー役のマーゴット・ロビーの輝く存在感と熱量に圧倒された。
そしてサイレント映画の大スターから、トーキーへの移り変わりの波に乗れず没落していくジャックを悲哀たっぷりに演じたブラッド・ピットは、たとえ落ちぶれた姿になっても華があり、眩かった。(贔屓目ではなく)
映画を観てから二日くらい経って二度寝した朝、珍しく夢を見た。
舞台は仄暗い地下鉄のホーム。
下りのエスカレーターに乗りかけた私は「Hey、lady!」と聞き覚えのある声に呼びとめられた。
振り向くと、笑顔のブラッド・ピットが追いかけてくるではないか。
黒い革ジャンの上からも分かる太い腕にぶ厚い胸板。真っ白な歯、仔犬のようなキラキラの瞳と優しい目尻の皺は、スクリーンで見るのと全く同じなんだなぁ…
憧れのスターが放つオーラにボーッとなりながら、一緒にエスカレーターに乗った。後ろを向きながら、知ってる英単語を駆使し一生懸命話した。彼は私の言葉にうなずいたり、身振りを交えながらクシャッとした笑顔で時々ウィンクしたりする。
話の内容は全く覚えていない。
地中深く続くエスカレーターは長い。大江戸線よりも長い。いつまでも一緒にいたい願望がそうさせるのか、なぜか終わりが来ない。
このままお別れしたくないと思った私は思い切って
「ねぇ、あなたを連れて行きたいところがあるんだけど?」と誘ってみた。
「OK!」って、目を細めて嬉しそうなブラピ。
「ええぇ?いいのかな?私、一体彼をどこに連れて行くんだろう」って次の展開にわくわくしていたら
とつぜん場面が切り替わった。
ふたりで到着したのは、私が時々身体のメンテナンスのために通っている鍼灸院の扉の前だった。
THE END.
まぁ、私の頭の中の映画なんて、オチはそんなもんだよね。
ノーギャラで夢の中に出てきてくれてありがとう、ブラッド・ピット。