風に乗って空を泳ごう

世界にひとつの布小物を制作する嘘とミシン。日々感じたことや体験したことを気ままに綴ります。

peacefulな一日《ヨギ市》

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9月25日。あっぱれヨガ日和な日曜日。

ヨガのレッスンと市場が合体した「ヨギ市」

無事開催されました。


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オープン15分前。ヨギ市主催スタッフの皆さんと出店者たち全員が輪になって、短い瞑想をする時間がありました。

どんなに忙しくても心がざわついていても、安座を組んで心を鎮める時間をとる。ヨガ実践者にとっては大切なひととき。

スタート前のこんな儀式が、ライブ直前のミュージシャンや試合前の選手たちの円陣「オー!」とはまた違う、ヨギバージョンなのは何だかいいなぁと思いました。


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会場の会館は元幼稚園だった平家の一軒家でかなり古い建物と見受けますが、手入れが行き届いていて流れる空気がとてもきれいなのです。

私のお店はD室の「ビューティールーム」。


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大きな窓から日差しが差し込む暑い部屋だったので、スタッフさんが運んできてくれた扇風機がありがたかった。

このたまらなくノスタルジックな扇風機の、デザインと色の美しさ。持って帰りたいくらいでした。

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嘘とミシンのお店はこんな風にディスプレーしました。白地に黒ドットの大きな布をしいて、カラフルな小物たちが引き立つように。


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スカル子ちゃんブローチやおばけガールズチャームを置いたハロウィンぽいコーナーには、ホーンテッドハウスを。大好きなツェツェの手のオブジェやコブレットは什器として。森のきのこチャームの前にはスウェーデンの古いきのこ本を飾ったり。

1日限りのお店ではありますが、お店に立ち寄ってくれる方それぞれに何かひとつでも発見があることを願って、楽しくディスプレーしました。

 

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ハンドメイドのイベントではないので、正直どれほどの方が見てくれるだろうかと思いながらも、今回も全力で作品を用意しました。

ですがオープンしてみれば朝すぐに私に会いにきてくれお買い物をしてくれた方や、ずっとお会いしたかったお馴染みのお客さまなど、時間を作って足を運んでくださった方がいらしたことに感激しました。

そんな方々と直接お話ししながら、作品についてご紹介することができ、とても嬉しかったです。

 

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建物の周りはぐるっとテラスと芝生になっているので、お客さんや出店者さんたちと一緒に来た小さな子どもたちが自由に走り回っているのが見えました。

ママたちはおしゃべりしたり買い物したりね。実にほのぼの。


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ナマラステさんのお豆だらけのビーガンカリーと甘いチャイ。食べ物のお店が集まるCルームからカレーの香りがしてくるのに我慢できなくなり、11時にはお昼ごはんを決め込んだ私。

おいしかったなー。
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今回のタグは「Om shanti」の真言入り。ヨギ市特別バージョンを作りました。

お買い上げの方には感謝の気持ちを込めて、ハギレを留めたラッピングでお渡ししました。


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中央の体育館スペースでは5つのヨガレッスンがゆったりとした空気の中、進行していました。

皆さん気持ちよさそうに集中されている様子を羨ましく眺めていましたが、今回はお店があるので我慢。


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おしゃれなワンピースを着た小学生の女の子たちがキラキラした目で近づいてきました。「手にとって裏も表もじっくり見てね。そっとやちょっとじゃ壊れないように作ってるから大丈夫だよ」と言うと、「これ好き!」「キャンディがついてる!」「わぁ〜面白い!」などと口々に言いながら全ての作品を手に取って、細部まで本当によく見てくれたのです。

「これ欲しい!」と言ってお母さんにお金をもらって戻ってきてくれた女の子も。その子がまた友だちを連れてきてくれたりして、かわいいやら有難いやらで、、

とっても心が温まるエピソードを最後にご紹介しました。

 

大好きなヨガがご縁で今回出店のお声がけをしていただき、参加して良かったと充実感に浸っています。

今週末は楽しみなプチ旅行が待っています。少しだけ充電したら、次に向けて頑張ります。

ありがとうございました。

 

きっと風になって空を泳いでる

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8月も終わろうという頃、闘病中だった叔父がこの世を去りました。

母と弟である叔父はとても仲が良く、叔父が大学院生だった頃、私の家で一緒に住んでいたこともありました。幼かった私や妹と自然の中でたくさん遊んでくれ、また人生で大事なことを教えてくれた人でした。

衰えゆく姿から亡くなる数時間前までを傍で見届け、そしてお見送りまで。その怒涛の日々は思った以上に自分の心にダメージを与えていたようです。

そんな訳でまたまたブログをしばらくお休みしておりました。

 

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ぽっかりと心に穴が空いたまま、季節は秋に。

以前から楽しみにしていた展覧会の開催に合わせ、会いたい人に会いに、美瑛までドライブしてきました。

傷心日帰り旅です。


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トイレ休憩に寄ったおなじみ富良野六花亭

テラス席で新作のお菓子「花の首飾り」と無料サービスの珈琲でひと息つきました。

ここに来ると時が止まったかのように感じるのはなぜ…?それに空が高く、空気が澄んでいて心地よさ100%の富良野でした。


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富良野から30分、美瑛の丘陵地帯に入るとさらに時間の流れが緩やかに。

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美瑛の素敵なお店スイノカゴさんで始まったアンティークの展覧会「Skantique」展。

はるばるスウェーデンからやって来たSkantique店主のゆきこ嬢と約2年ぶりに再会できました。お互い変わらず元気に生きてあえることがこんなに嬉しいなんて…

大げさでも何でもなくて、最近は友人・知人の誰に会ってもそう思うことが多いです。(年なのか)


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Skantiqueゆきこさんが自分の足で探して買い集めてきたアンティーク品は、他では見ることができないユーモアや手仕事の優しさがある貴重なものばかり。毎度ため息がでるような素晴らしさなんです。この展覧会を東京ではなく美瑛でやってくれることの奇跡よ。

私は、スウェーデンの名産品、アンティークのスポーンコリのバッグを持ち帰ることにしました。

スポーンコリは、限られた職人さんが樹齢250年ほど経った松の木を薄く剥いで、手で編んでゆくスウェーデンの伝統工芸品です。

大きな蓋つきのカゴなどは大人が腰掛けても割れないほど丈夫なので、何代にも渡って愛用することを可能にするそうです。

 

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そしてもうひとつ出会ってしまった特別な品物がこちら。トナカイの角を削って作ったスカーフホルダーです。

なんと珍しや。スキーがモチーフになっています。

私にはじめてスキーを教えてくれたのは叔父でした。

猛吹雪のニセコの山で凍傷になりかけながら(←私がです)スパルタで教えてくれたおかげで、ワイルドな山スキーの面白さを知ることができました。

このタイミングで出会えた白いスキーのスカーフホルダー。縁だと思いました。

これからアクセサリーボックスからとりだすたびに叔父と心の中で会話をすることになると思います。

おしゃれだった叔父がそれを喜んでくれるといいのだけれど。

わたしは最悪。

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《わたしは最悪。》という変わったタイトルの映画を観てきた。英語のタイトルはTHE WORST PERSON IN THE WORLD

この邦題、賛否両論あるみたいだけど私は好き。映画を見終わったあとにこの邦題の意味が決して悪い意味ではなく、逆説的な意味を持っていると感じたから。

ユリヤ(レナーテ・レインスヴェ)という名の30歳の女性の恋愛事情に人生を絡めて描いた物語。

彼女の自由奔放な恋模様を見ていて感じたのは、

「恋に恋し、誰かに愛されている恋愛期間は、長い人生の中で一番輝いてる華の時代なんだなぁ」ってこと。ちなみに映画のフライヤーになってるこの写真。笑顔でどこかへ駆けていく彼女のこの表情は、二人目の彼との恋愛がまさに今始まった瞬間の顔である。「これから彼に会いにいくの!嬉しくて仕方ないの!」っていう、人生を謳歌しているとってもいい表情だと思う。

しかし最初は運命だと思った恋人でも一緒に生きていけるかというとそれはまた別の話で…

最初の彼とは結婚観の違い、二番目の彼とは知的レベルの差。それとちょっとした価値観のズレがだんだん大きくなり、あれだけ好きだった彼らにユリヤは別れを切り出す。戸惑う彼氏たちが哀れだったし最初の彼はのちに末期の腎臓癌にまでなって本当に気の毒だったけど、切り替えの早い彼女の姿は痛快でもあり。

大学で医学→心理学に転向→なぜか小説家の真似事→書店員→カメラマン。点々と「自分探し」をしながら、恋と同時に仕事に対しても悩みながらも本能の赴くままに突き進むユリヤ。見る人によっては「最悪」かもしれないが、都会に生きる現代女性の生き方として「最強」なのではないかなと感じた。

白夜や夕焼けが美しいオスロの街が舞台で、登場人物が皆んな美男美女だったのもあって映像はやたらスタイリッシュだったけど、リアルに共感できる部分が多い映画だった。

 

「わたしは最悪。」

監督: ヨアキム・トリアー
脚本: ヨアキム・トリアーエスキル・フォクト
出演: レナーテ・レインスヴェ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハーバート・ノードラム
配給: ギャガ
ノルウェー、フランス、スウェーデンデンマーク/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/128分

 

 

 

墓には花束、暑さには梅を

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先日、母と妹を車に乗せて、道が混まないうちに早めに父と祖父母のお墓参りをしてきました。

今年はこんな花束を持って。

盆や彼岸にお花屋さんに並ぶ「いかにも仏壇・墓用」のけばけばしい花束があまり好きではなくて、ここ数年は花を自分で選びそれらしい感じにまとめています。


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お墓参りの帰りは行ってみたかったカフェ「Agt」へ。(あじと、と読むみたい。)

豊平川のほとりに建つ二階建ての一軒家のお店で、中は椅子やテーブルの数も少なく、広いスペースでゆったりと過ごせるいい雰囲気。

メニューはお米のビーガンサンドイッチがメイン。それにサラダやフルーツ、みそ玉スープをセットにしてみました。

食べた後もお腹が軽く非常に健康的な食事なので、うちの男子は連れて行けないけど、ヨガのあや女子たちで来るのに最適。


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そして、見に行こうと思っていた絵本作家の橘春香さんの原画展の会場が、まさかのここAgtだったのも嬉しい出来事でした。

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児童書「銀杏堂 スフィンクスのつめ」の中の一話《記憶の聞香杯》に登場する色々な“におい“をアロマテラピストの方が再現しているコーナーが面白かった!

透明のガラスドームを開けてにおいを嗅ぐことができます。

◎冬のセーターのナフタリン

◎むらさきの母の乳液

◎こども風邪薬シロップ

◎人形の頭のにおい

などが特に再現度が高くて「なつかしい〜」とあの頃にタイムワープ。

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机の上に置かれた大きなガラスドームにはまた違う「におい」が入っていて、そのにおいから連想する言葉を付箋に書くことができるようになっていました。

そして橘さんが黒板に描いた大きな鯉の絵に、付箋をうろこのように貼り付けることができるのです。私ももちろんにおいを嗅いでみて「これは、あれだ!あのにおいだ!」とピンときた言葉を書き記してきました。


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Agtの一階では美味しそうでおしゃれな自然食品がいろいろ紹介されていて、私は和歌山の「梅ボーイズ」が作った梅干しを買って帰りました。

2階で飲んだみそ玉スープの中に焼いた梅干しとサイコロ状の長芋が入っていて、それが最高に美味しかったからです。梅干しなんだからもちろん酸っぱい味噌汁になるのですが、蒸し暑くてだる〜と思っていた身体にガツンと効いて、そのあとスーッと涼しくなったのには驚きました。

しばらくは梅干し入り味噌汁で暑さを乗り切っていけそうです。

 

《原画展 銀杏堂 スフィンクスのつめ》

作・絵 橘春香 

7/22fri.〜8/21sun. 10時〜17時 木曜定休 閲覧無料

会場《Agt》MOKU | WEB MAGAZINE

札幌市中央区南16条西4丁目1-10

歌声、赤髪

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原作・原泰久「キングダム」週刊ヤングジャンプ連載/東宝ソニー・ピクチャーズ配給

少年マンガやアニメの面白さを教えてくれたのは息子だ。もしも私の子どもが女の子だったら知らずにいた世界だったかもしれない。

先日、パート1の上映から3年の時を経てやっと公開された「KINGDOM 2 遥かなる大地へ」をレイトショーで観てきた。

65巻出てもまだ完結していない原作マンガから今回は「蛇甘平原の戦」をクローズアップ。この戦は天下の大将軍を目指す信(山﨑賢人)の初陣で、錚々たるキャストに加え1万人というエキストラを使っての映像が大迫力だった。それにしても信は一番下の兵のくせに上官の命令も殆ど無視して勝手に先頭に立つ。そして無敵の強さと無限の体力であっという間に敵陣までたどり着いちゃう痛快さ。

漫画かよ…漫画だ。

女剣士・羌瘣(きょうかい)役の清野菜々のアクションが期待通りの素晴らしさ。長い剣を持ち、しなやかに舞い踊りながら敵を束で倒していく様子はアニメーションのように美しかった。

そして千人武将・縛虎申(ばくこしん)。

彼は今回私の中で完全にNo. 1ヒーローに決定!演じたのは「孤狼の血level2」でのヤクザ、「真犯人フラグ」での阿久津刑事でも良い味を出していた渋川清彦さん。

縛虎申は部下に無謀な突撃命令を下す鬼将軍だが、自身も命を投げ出して敵の首を討ち取り、壮絶な死を遂げるのだ。

気迫に満ちた見事な死に様に震えた。

それにしても物語はパート2にして原作のまだほんの触りの部分である。映画の完結には山﨑賢人の成長とともに10年以上?いやそれ以上かかりそうだ。それに予算は足りるのだろうか心配だ。

 

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集英社/週刊少年ジャンプ

キングダムの信が「天下の大将軍」になるにはかなりの年月を要しそうだけど、こちらのヒーローが「海賊王」になる日はそう遠くなさそうだ。

ワンピースの主人公ルフィー。

仲間を思いやり正義を貫く、ぶれないルフィーと個性豊かな「麦わらの一味」たちの冒険にずっと胸ときめかせている。物語は漫画と(少し遅れてアニメーションも)最終章に入り、ますます面白さが神がかってきている。


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原作・尾田栄一郎「ワンピース」週刊ジャンプ連載/ワンピース製作委員会/東映配給

で、映画「FILM RED」は公開初日に息子と一緒に観てきた。誰にも邪魔されずに集中できるベストな座席を予約して。息子は上映中にトイレに行きたくならないよう、朝から水を一滴も口にしない徹底ぶりだった。

映画はシリアスになってきている原作とは切り離された内容で、夏休み向けお祭り映画という雰囲気があった。ルフィーが海賊になるきっかけを作った「赤髪海賊団」のシャンクスという伝説の海賊と、その娘、歌姫ウタの物語。

中田ヤスタカ、Vaundyらが提供した素晴らしい楽曲の数々とともに歌い踊るウタのライブは臨場感いっぱいでこの映画を観に行く価値が充分あると思う。

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そして想像していた以上にシャンクスが動き戦う姿と、名ゼリフの数々がもう渋すぎ&かっこよすぎて!!またもや私はアニメの人物に恋してしまった。こんなに心を奪われたのは鬼滅の宇髄天元さま以来…♡

というかワンピースファンは老若男女全員シャンクスにあらためて恋したに違いない。

シャンクスがウタを守って剣を振るう瞬間を何度もスローモーションで見返したい…

でもその前に次は4DXかIMAXでもう一度観に行くことにしよう。

 

Tシャツと平和

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Tシャツのおしゃれについて。

ヨガに行く時は別として、Tシャツ一枚だけで出かけることはしなくなった。

どんなに新品だとしてもTシャツはなんだかやっぱり「家着」という感じが自分は否めない。

Tシャツを「外出着」として格上げさせるために、ネックレスやつけ襟など何かしら手を加えると安心できる。

今年新調したのは、GOOD ROCK SPEEDのUFO Tシャツ。

このTシャツにつけ襟を重ねるのが気に入っている。

 

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それからあともう一枚、最近クローゼットに加わったTシャツはこちら。

大阪のUSJに遊びに行ってきた妹に頼んで買ってきてもらったワンピースのゾロTシャツだ。

ボトムにはゾロみたくストレートのブラックデニムを選びたいところだけど、ルメール×ユニクロのタイトな赤の膝下スカートか、ミナのsleeping flowerのスカートを合わせて

映画《ONE PIECE  FILM  RED》を見に行きたい。

 

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sleeping flowerのスカートは、迷彩柄の部分をハサミで切ると下に白い花が現れる。

よいことがあった日や素敵な場所に行ける日にひとつずつ開けることにしている。

ずっと歳をとった時、たくさん白い花がのぞいているといいなー。

そんなすごい仕掛けと反戦メッセージが込められてる自慢のスカートだ。

 

今日は、8月6日。



 

空白を満たしなさい andドラマ雑記

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NHK土曜ドラマ「空白を満たしなさい」が全5話で終了した。稀に見る傑作だった。

自殺を疑われたまま死んだ男が、3年後に生き返って突然妻の前に現れる。

最初は死の真相を追うSF的ヒューマンサスペンスかと思っていたら、最終的に「私はなぜ生きるのか」という哲学的な問いの答えを観る者に考えさせる深い話に辿り着いた。

柄本佑鈴木杏阿部サダヲの演技の凄まじさに毎回くぎづけになった。表情はもちろん、声の出し方、動作、そのすべてに繊細な感情の移り変わりを乗せるのが天才的にうまい3人。

このドラマは平野啓一郎さんが書いた小説が元になっている。もちろん脚本は十分素晴らしかったのだけど、切り取られた台詞の背景について詳しく知りたくなり、本を買ってきて読み始めている。

 

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と、ここでついでに《2022年4月スタート春期・嘘ミドラマ大賞発表》!!

 

「空白〜」のような自分にとって非の打ち所がない名作ドラマは年に数本あるかないかだけれど、

今年4月スタートの春ドラマの中ではナンバMG5」(フジテレビ)は完成度が高く、一本筋が通った青春学園ドラマだったと思う。

役によって変幻自在な間宮祥太朗が今回は「普通の青春がしたい」と願うヤンキー家族の次男、主人公の難波剛を演じた。剛は家族の手前、普段は特攻服を着て仲間を助けるために派手にケンカをするが、実は内緒で普通の高校に通い、成績優秀で生徒会長まで務めるという二重生活を送っていた。その様子がコミカルで笑えるんだけど話はそれだけでなくて、友情、恋愛、ちょっぴり社会問題、それに家族愛まで全部ぶっ込んでいるにも関わらずよくまとまっていたし、毎回とにかく元気をもらえる楽しいドラマだった!

ヤンキードラマでは「今日から俺は」も大好きだったけど、「ナンバMG5」はそれ以上かも。続編を期待。

 

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「マイファミリー」(TBS)は日曜劇場枠らしいスケールの大きさで任せて安心の面白さだった。最近サスペンスドラマは犯人の考察をするというより「個性の強い推しキャラを見つけて応援&物語の流れに身を任せる」という楽しみ方をしているんだけど、犯人はまさかのサンドイッチマン・富澤さんだとはね。ニノの演技していないみたいな自然な台詞回しや振る舞いもさすがだった。

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インビジブル」(TBS)は犯罪集団「クリミナルズ」を追う刑事(高橋一生)が犯罪コーディネーター(柴咲コウ)とバディを組んで、未解決の凶悪犯罪を解決していく話。じつはクリミナルズの頭は警察内部の検察官(桐谷健太)だったっていうよくあるオチだったのが残念だった。が、柴咲コウの住む洋館と衣裳とティーセットが毎回豪華で美術が凝ってた点は楽しめた。あと「凪のお暇」や「カルテット」とは全く違う、笑わないクールな高橋一生もステキだった。

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恋愛ドラマは食器デザイナーの純(広瀬アリス)とレストラン勤務の柊磨(松村北斗)のぬるい恋愛模様を描いた「恋なんて本気でやってどうなるの?」(カンテレ)と、ヨガインストラクターの娘(上野樹里)と辞書編集者の父(松重豊)それぞれの恋愛と結婚を描く「持続可能な恋ですか?」(TBS)の2本を。

どちらもキャストは良かったのに〜。キャラはぶれたりぼやけたり、最終回は「そりゃないでしょー」な自己中でお寒い展開もあって私の評価は低し。

恋愛ものは恋するふたりにどれだけ共感できるかが大事で、トキメキに丁寧な裏付けと説得力がないとだめ。

あと話を広げすぎると回収するのが難しくなると思うが、散らかした以上、最低そこはちゃんとやってほしいな。

三谷幸喜山田太一向田邦子倉本聰坂元裕二木皿泉渡辺あや大石静岡田惠和三谷幸喜井上由美子…。好きな脚本家は書ききれないほどたくさんいるけれど、彼らはほんとすごいんだと改めて思う。

 

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あ、落ちぶれた元ボクサーのキムタクが高校のボクシング部を勝利に導くスポ根もの、「未来への10カウント」(テレビ朝日もなんだかんだで最後まで観てしまった。48歳の悲哀を感じる役どころだったけど、キムさまは何やってもキムさま。はい、カッコいいですね。